2018年MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信第17回 ビジネススクールでの生活

チュートリアル通信
国内MBA合格者が、試験の仕組みや国内MBA対策、MBA取得後などについて語るチュートリアル通信
河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。

河合塾KALSの国内MBA・MOT対策講座

第17回 ビジネススクールでの生活
国内MBA対策講座 河合塾KALS

皆さん、こんにちは。さて、早稲田大学大学院(WBS)の出願も今月9日(2016年1月)に締め切られるなど、冬入試も大詰めを迎えています。出願された皆さんは筆記試験や口述試験対策に集中して取り組みましょう。これまで積んできた経験は、試験で活きますので自信を持っていただければと思います。今号は今年度の締めくくりとして、私自身の経験を踏まえながらビジネススクール生活について触れたいと思います。


2年間の流れ

はじめに、ビジネススクールに入学してほぼ全員の方が感じることといえば、

「忙しい」

ということです。これは一橋大学大学院(HMBA)や慶應義塾大学大学院(KBS)などのフルタイム制でも、WBSや青山学院大学大学院、首都大学東京大学院などパートタイム制でも同じです。理由はビジネススクール入学者として押さえるべき必須の知識やスキルを入学後1年で学ぶことになるからです。ビジネススクールの必須科目は、KALSの講義で学んだ経営戦略論や経営組織論、マーケティング論だけに限りません。企業の状況を数値で把握するために必要な会計学や、資金調達や事業の価値を算定するために用いるファイナンス論、企業の外部環境を分析するための経済学や統計学など、ビジネスで用いられる理論が目白押しです。この「横幅を広げる」学びは、分量も多いのに加えて慣れるまでに時間がかかるため、体力的にも精神的にも負担がかかります。体調や時間の管理、パートタイム受講者は仕事との両立にも気を配り、最初の難関をクリアしましょう。

必修科目を中心に過ごす1年目に比べると、2年目は比較的余裕が生まれます。ビジネススクールでの生活に慣れるとともに、ビジネスへの理解が深まり関心が高まるからです。2年目では、選択科目の履修と学習成果のまとめに取り組みます。選択科目の履修では、自身の関心が強い分野を決め、それに応じた科目を履修することでその分野に関する理解度、すなわち「縦幅を深め」ます。次に学習成果のまとめでは、多くのビジネススクールではゼミへの参加と卒業論文の制作が求められます。受講者は自身が取り組みたいテーマを選び、関連するアカデミックな文献の精読や、アンケート等でデータを収集・分析を通して、その成果を論文としてとりまとめていきます。青山学院大学大学院のようにそつぎょう論文の提出が任意になっているビジネススクールでは、体験的学習プロジェクトに参加することになります。体験的学習プロジェクトでは、実際にビジネスプランを作成する、あるいはマネジメントゲームでチーム同士が競い合うなど、ビジネスを疑似体験することでこれまでの成果を活かすことになります。論文制作もプロジェクト参加も、ビジネススクールで培った知見を「実務につなげる」プロセスといえるでしょう。

以上がビジネススクールで過ごす2年間です。私自身の感想を申し上げると、はじめは慣れるのに難儀したものの、受講生同士のつながりや自身の考えが深まるにつれ、通うことが楽しくなりました。最後のプロジェクト論文(WBS・夜間主総合プログラムで求められる卒業論文)では非常にエネルギーを費やした分、今までのビジネスキャリアを振り返りつつ今後の糧となる成果が得られたと考えています。

ビジネススクールを有意義に過ごすポイント

前項で2年間のビジネススクール生活をまとめました。細かいところはビジネススクールで異なるかもしれません。ただ大まかな流れは変わらないと思います。
では、ビジネススクールの2年間を有意義に過ごすポイントは何でしょうか。私なりの見解をまとめると、

「能動的に考え、カリキュラムやプライベートを過ごす」

ことに尽きます。このことはガイダンスや講義、カウンセリングなどを通じて何度も触れてきたことだと思います。ビジネススクールは皆さんが学びたいテーマや専門分野に関する資源(教授陣や文献など)はほぼそろっています。また規模の大小はありますが、同じ環境で学ぶ同期性、卒業して実務に戻っているOB・OGの方々もいらっしゃいます。ただし、これらはビジネススクールから「与えられる」ものではありません。皆さんがキャリアの実現に向けてビジネススクールでどう過ごすかを考えて行動して、はじめて意味がある生活を過ごすことができます。逆に待ちの姿勢、俗にいう「クレクレ」の姿勢で留まっていてもだれも何もしてくれませんから、2年間何もないまま終わることになるでしょう。
国内ビジネススクールは黎明期、まだ評価が固まっていない時期といえます。皆さんやOB・OGの方々が国内外でのビジネスの現場で実力を発揮することで、ビジネススクールの評価が得られるのです。ぜひビジネススクールに進学したあかつきには、貪欲にビジネススクールの資源を活用して活躍の場を広げていただければと思います。

4月から17回にわたり、チュートリアル通信を通じて私なりのビジネススクールに対する考え方、その前哨戦となる入試の対策法を説明してまいりました。冬入試受験の方は少し先になりますが、ぜひ志望校への合格を勝ち取りビジネススクールで学ぶ機会を勝ち取ることを祈念しております。
最後になりますが、この連載でサポートいただいたKALS講師、ならびにスタッフの皆様、そして今年度ビジネススクール合格に向けKALSのカリキュラムを選ばれた受講生の皆様に御礼申し上げます。

MBAチューター