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第7回 社会人経験者の面接対策について

2020年度
河合塾KALS 臨床心理士指定大学院講座 チュートリアル通信
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
第7回 社会人経験者の面接対策について

新宿校チューター : 宮内裕介 



皆さんこんにちは、チューターをしています宮内裕介です。

皆さんこんにちは、チューターをしています宮内裕介です。
今回は社会人経験者向けの面接対策を解説していきます。

現状、社会人入試を設けて、入学を後押ししてくれる大学院が増えています。
皆さんの臨床心理士を目指すストーリーを、大学院の合格基準に合わせていけるような説明をしていきたいと思います。
よろしくお願いします。


3. 社会人経験者の面接対策
(1)なぜ大学院は社会人入試を設けているのか
(2)社会人の視点(経験)とは何か
(3)社会人経験者が臨床心理士を目指す動機となるもの
(4)社会人が面接時に訊かれる頻出質問
(5)「臨床心理士として働く上で、社会人経験はどの様に役立ちますか?」
に対する一つの返答例



3. (1)なぜ大学院は社会人入試を設けているのか
大学院が社会人入試を設けている理由は、社会人の視点(経験)を授業のディスカッションに取り入れたいからです。
現役生だけでディスカッションをすると、学生のみの意見になります。
そこには多面性が無いのです。
臨床心理学は社会の中で役立てる実学です。
社会には学生も就労中の人も、親という立場である人も居ます。

各々が違う環境と立場で生活しているので、一面的な見方はできません。
違う背景を持った人たちが、意見を出し合うことで、議論は深まります。
社会人入試を設ける理由はここにあります。


3. (2)社会人の視点(経験)とは何か
社会人の視点という言葉は、人によって持つ印象が違うと思います。
正解はありません。
ただ、大学院側が期待する社会人の視点と、期待していない視点がありますので解説します。

①大学院側が期待する社会人の視点
*社会人経験者としての視点、子を持つ親としての視点など、学生とは異なる環境や立場を経験した人の視点。
*社会人として働く辛さや、組織内の人間関係の難しさを経験している視点。
これ  は表現が難しいですが、社会には不条理な一面があることを知っていて、それを受け入れてきたというようなものです。
*大人としての擁護的な視点。
大学院の臨床トレーニングでは、時には侵襲的に心を乱される経験をします。そのような時に現役生には、話すと心が落ち着く仲間の存在が必要となります。

②大学院側が期待していない社会人の視点
*社会人の責任、社会の厳しさを説く視点。
大学院に社会人の説教を持ち込んでくる受験生は合格しません。
大学院は社会人経験者に、社会の厳しさを現役生に教えて欲しいなんて期待していないのです。
*論理性と経済性から語る視点。
社会人には原因と結果を結び付ける習慣があります。

ただ、社会人の論理性というのは、研究における独立変数や従属変数とは全く別物の、感覚的なものだったりします。
それを論理と呼ぶことに、教授は違和感を持ちます。

経済性に関しては、費用対効果や合理性などの考え方は臨床心理学にはありません。
会社では合理的に考えて~という表現は、大学院では煙たがられます。
*エセ心理学で語る視点。
これは、会社の責任者としてグループダイナミックスを利用した組織運営をしていた、上司と部下の関係をフラットにしてコーチングを行っていた等の、
心理学の実践とは呼べない経験を語ってしまうことです。
ビジネス心理学書で勉強して仕事に活かしていた等のエピソードは、評価されません。


3. (3)社会人経験者が臨床心理士を目指す動機
社会人経験者が臨床心理士を目指す動機は、面接時に質問が集中します。
面接官は納得がいくまで、何度でも同じような質問をしてきます。

この質問は一言では答えられないので、自分のストーリーとしてまとめておくことが必要です。
全体として言えることは、社会から逃げてきたと思われる動機や、臨床心理士をレアな資格として捉えてい
る動機は、大学院側には受け入れられません。

臨床心理士は資格であっても、その本質は生き方のようなものです。
受験生各々で動機は異なるかと思いますが、動機として問題ないものと、
動機として評価されないものをパターン化してみます。

社会人が臨床心理士を目指す動機として問題ないもの
①もともと大学院に進学予定だったが、学費などの必要費用を準備するために働く
期間を設けた。
②震災や家族を亡くす等のライフイベントを経験して、臨床心理士を目指すようになった。
③自分が働いている職種が心理職に近く、身近でその必要性を理解した。

社会人が臨床心理士を目指す動機として評価されないもの

①一般企業に就職してみたが、人間関係が上手くいかないので、臨床心理士に転職したい。
②会社での立場が不安定(リストラ等の可能性)なので、万が一の時のために、臨床心理士として働けるように資格を取りたい。
③会社勤務の中でうつ病になり、休職中に臨床心理士に助けられたことが目指す動機となっている。


3. (4)社会人が面接時に訊かれる頻出質問

面接で社会人向けによく訊かれる質問があります。
どう答えるかは返答例を参考に、自分の答えを準備してみましょう。
答えを暗記するのではなく、質問を受けた内容を頭の中でイメージにしてみます。

質問例 ①その年齢で臨床心理士になって、何年働けると思ってるの?
返答例 ①私は今〇歳ですが、社会から必要とされる限り、引退することは考えてい
ません。そのために、身体的健康と精神的健康には十分注意しています。
解 説 ①必要であれば、どうやって健康を保っているかを具体的に説明します。

質問例 ②その年齢で臨床心理士になっても、働く場所なんて無いでしょ?
返答例 ②私は一旦会社を退職していますが、その際、心理職として戻ってきても良いと言われています。
元の会社に戻るかどうかは決めていませんが、大学院在学中に自分に合った職場を見つけたいと考えています。
解 説 ②実際にはコネが無くても、自分で探すという姿勢を見せるのです。

質問例 ③卒業後に希望する仕事に就けなかったらどうするの?
返答例 ③希望通りにいかなかったときは、心理職として経験を積める電話相談員や、心理検査員の仕事を探します。正規雇用にはこだわりません。
解 説 ③働き口のことで、大学院側に迷惑をかけないと宣言しましょう。(実際は紹介を受けることが多いのですが)

質問例 ④大学院在学中は働けなくなるけど、お金はどうするの?
返答例 ④臨床心理士を目指す準備の中で、研究に集中するための資金を貯金してきましたので問題ありません。
解 説 ④思いつきで臨床心理士を目指しているわけではなく、数年単位で準備し
てきたことを説明しましょう。

質問例 ⑤臨床心理士を目指すことを、周りの人はどう思っているの?
返答例 ⑤家族は理解して、応援してくれています。数年前から話し合いを重ねていますので。
解 説 ⑤面接では家族の話を聞いていけないというルールがありますが、実際、聞か
れることもあります。大学院進学に関しての問題は、全てクリアしていると
伝えましょう。


3. (5)「臨床心理士として働く上で、社会人経験はどの様に役立ちますか?」
に対する一つの返答例

「 私の社会人経験が役立つとすれば、他者との信頼関係の構築だと思います。
同じ会社であっても、職種が違えば価値観は違います。

取引先は業種も違うので、価値観も目的も違います。
目的も価値観も違う他者と一緒に仕事をするには、信頼関係が必要になります。

コミュニケーションを積極的に取ることで信頼関係は構築されますが、実際にするのは難しい作業です。

私は長い時間をかけて、目的と価値観の違う他者と理解し合えるコミュニケーションを取ってきました。
コミュニケーション能力が直接、臨床心理士の業務に役立つとは考えていませんが、他職種の人たちと連携して仕事を進めるときには、役立つかと思います。

大学院で研究したテーマを社会に還元していくには、他職種の人たちとの連携が必要条件になるのではないかと私は考えています。」

[解説] 上記の返答例は、受験生が初学者の社会人であると設定して、臨床心理士と他職種との連携機能不全をテーマに返答したものです。

直接的に役立つのは難しくても、間接的には役立つのではないかというテーマを、自身の社会人経験から探してみて下さい。
テーマを持たずに、社会の厳しさや働く大変さを知ったと返答してしまうと、臨床心理士の業務に役立つという理屈を説明するのが難しくなります。

心理学部卒の社会人の場合は、大学で勉強した心理学の理論を社会の中で機能させるには、~が必要であると気づきを得ましたという展開が話
しやすいかと思います。