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チュートリアル通信第11回 臨床心理士の業務とは!?

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河合塾KALS 臨床心理士指定大学院講座 チュートリアル通信
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第11回 臨床心理士の業務とは!?
河合塾KALS臨床心理士指定大学院講座

新宿校チューター : 今井美沙


皆さん、こんにちは!先日、とうとう心理職の国家資格である“公認心理士”案が国会に提出されました。今後どうなっていくのやら…、進展にも目を向けていなければいけませんね。

さて、今回は臨床心理士の業務についてです。何となく知っている方はいるかと思いますが、詳しいことはわからないという方も多いのではないでしょうか?これから面接試験を受ける方は、「将来、どういった領域で働きたいのか?」「どういった心理士になりたいか?」という質問が来ることも予想されます。面接を受ける前に、もう一度確認しておきましょう!


臨床心理士の業務

既に試験勉強で知っている方も多いかと思いますが、臨床心理士の業務は以下の4つが挙げられます。

①臨床心理査定

査定とは、援助を受ける方の立場に立ちながら、主訴、人格特性、問題の背景にある心理的要因などを見立てていくことです。どのようなことで困っていて、どのような心理的な動きがあり、どのようなことを求めているのか、それらを多面的にアセスメントしていきます。
具体的な方法としては心理検査が真っ先に思い浮かぶかと思いますが、それ以外にも面接時のクライエントの様子、生育歴などのさまざまな情報を含めながら行っていきます。
 
②臨床心理面接

面接は、クライエントとの関わりを通してクライエントの主訴、困っていることに援助を行っていくもので、臨床心理士の中核的業務です。
その方法は、精神分析、認知行動療法、来談者中心療法、家族療法などクライエントに合わせた方法を取り入れて進めていきます。
面接技術を高めるためには、日々研鑽や勉強を積んでいくことが必要になります。また、「ここまでできたら、ゴール!」というものでもなく、常に高めていく努力をしなければいけません。そのためにも、さまざまな訓練(スーパービジョン、教育分析、ロールプレイなど)を行っていく必要があります。

③臨床心理的地域援助

特定の個人だけでなく、地域社会、学校、企業など地域社会に住む方の援助などを行っていくことも臨床心理士の重要な業務となります。この業務は、他の専門職の方と連携をし、時にはコンサルテーションを行いながら進めていくことになります。
また、心理的問題を未然に予防するという意味で行われる地域住民への心理的情報提供などの業務もこの中に含まれます。

④調査/研究

臨床心理学的支援には、「理論」と「実践」の両輪が不可欠であると考えます。上記のような実践活動を、常に有効性の高い方法で実行していくには、日々研究によって得られる知見が土台になります。したがって、その知見を得たり、吸収したりするためにも、研究活動は常に必要性を帯びた業務になります。主には、各学会誌に投稿したり、学会の年次大会などで発表したりします。また、定期的に行われるケースカンファレンスなどで、担当しているケースについて発表し、参加者とともに事例検討を行うことも必要です。このように、日進月歩で研究活動と実践活動は循環していると言えるでしょう。最終的に、そこで得られたものをクライエントに還元していくことを目指します。

臨床心理士の職域

臨床心理士は、現在さまざまな領域で働いています。職場や勤務内容などは実にさまざまですが、大きく分類すると、①医療、②教育、③福祉、④司法、⑤産業の5領域に分けられます。

①医療領域…病院・クリニック(精神科・心療内科・小児科)など

この領域では、医療機関にかかっている方に対して心理療法、心理検査などを実施します。また、デイケアやリワークプログラムなどを行っている病院では、そういった業務に携わることもあります。また最近では精神科だけに限らず、小児科・婦人科・緩和ケアの病棟にも入って、患者の皆さんの心理的ケアを行うケースも増えてきています。この領域では、カウンセリングの知識以外にも、精神医学・向精神薬などの幅広い知識が求められます。

②教育領域…学校内の相談室(スクールカウンセラーなど)/教育相談センター/その他教育相談機関など

代表的なものは、目指している方も多いスクールカウンセラーでしょう。主に生徒を対象に心理的な援助を行っていきます。また、学校以外の現場では各自治体が設置している教育相談センター(教育相談所)などでの心理療法・心理検査・親御さんへの援助なども行います。
教育現場では、不登校・いじめなどの他に、発達障害が近年大きく取り上げられるようになってきているため、それらの知識を有していることが求められます。また、教員や他機関との連携が大いに求められる領域でもあります。
 
③福祉領域…児童相談所/療育施設/心身障害者福祉センター/女性相談センター/老人福祉施設など

この領域では、さまざまな問題によって社会的弱者の立場におかれている方、日常生活に支障が出ている方が対象となります。虐待・DV・高齢者問題・障害を持つ方など実にさまざまな問題に関わっていきます。このような方達を取り巻く環境は、人によって異なっていきます。そのため、その個人の状況を把握しながら援助を進めていく必要があります。
また、こういった問題はさまざまな機関が連携しながら、援助態勢を整えていく必要があります。そういったフットワークの軽さが求められる領域であり、アウトリーチ的な関わりが必要になってきます。

④司法領域…家庭裁判所/少年鑑別所/刑務所/拘置所/少年院など

司法領域での業務は、主に各機関において処遇を決めるためのアセスメント実施、矯正のための援助などを行っていきます。この領域で勤務している方は多くの場合公務員です。そのため、こういった職域で働きたい場合は、公務員試験に合格していることが必要になります。そういったこともあり、経済的には安定している職域でもあります。その反面、多くの責任も伴われます。

⑤産業領域…企業内相談室/ハローワーク/EAPなど

社会人の方のうつ、自殺などのさまざまな問題が浮き彫りになる中で、産業領域における心理士の必要性が叫ばれるようになってきました。そして近年、産業領域にも心理士が入ることが多くなってきました。社会人経験がある方は、この領域を目指す方が多いのではないでしょうか?この領域では、ご本人の援助はもちろんのこと、上司や同僚、産業医などとも連携をはかりながら、個人がより良く働けるよう働きかけていきます。また、心理的問題を予防するための心理教育・プレゼンテーションなどの業務も。
また最近では、復職を目指している方に対して行われる“リワークプログラム”というのもクリニックや福祉施設などで近年実施されています。産業領域での援助に関わりたいと考えている方は、こういった形で携わっていくこともできます。


次回はQ&Aです!お楽しみに!

いかがでしたか?なかなかイメージしにくい部分もあるかと思いますが、やりたい仕事が少しでも具体化できたでしょうか?
また、現場に出てからも他の専門職の方との連携も重視しながら、1人1人研鑽を積んでいってください(*^^*)


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