臨床心理iNEXT

産学協創フォーラム『臨床心理iNEXT』設立にあたり
~メンタルヘルス・イノベーションのための「実践心理職」育成プログラムの開発・稼働に向け~

◆ 東京大学 大学院教育学研究科 臨床心理学コース 下山研究室と、河合塾グループ・株式会社KEIアドバンスは、協働で、深刻なメンタルヘルスの問題解決に貢献できる公認心理師の技能育成とキャリア発展を支援する講義映像プログラムを開発した。
◆ 研究成果のプログラムを中核とする、ICT活用の実践心理職育成システムの社会実装を産学連携で進めるために産学協創フォーラム「臨床心理iNEXT」を設立する。
◆ 研究成果公表のためのフォーラム・イベント(シンポジウムや研修会)を順次開催し、メンタルヘルスに関心をもつ多くの皆様に活用していただく活動を実施する。
◆ 上記公表の第一弾として、2019年3月21日にシンポジウム「産学連携で“公認心理師の未来”を創る」(https://www.kals.jp/cpinext/)を東京大学で開催する。


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我が国では虐待、不登校、引きこもり、うつ病、自殺といったメンタルヘルスの問題は深刻である。人的損失だけでなく、莫大な経済的損失となっており、専門的な心理サービスへの社会的ニーズが高くなっている。このようなニーズに応えるために公認心理師法が2017年に施行となり、心理職を国家資格である公認心理師の活動が2019年にスタートすることとなった。

しかし、我が国では心理職の専門教育は遅れており、メンタルヘルス問題に貢献できる公認心理師の育成システムの構築は、緊急の課題となっている。そこで、教育学研究科臨床心理学コース下山研究室と、教育産業をリードする河合塾のグループ法人・株式会社KEIアドバンスは、幅広い心理職が専門教育を受けることを可能にするICT活用の実践心理職育成システムを開発した。2019年3月21日開催のフォーラム「産学連携で“公認心理師の未来”を創る」では、この研究成果を公表し、より専門的な心理サービスを発展させる社会環境の整備について議論する。

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◆設立経緯◆
 深刻なメンタルヘルス問題への対策として、子育て支援、虐待対策、発達障害支援、スクールカウンセリング、犯罪対策、ストレスチェック、働き方改革、難病ケア等々の施策が実施されてきている。東京大学の下山研究室は、臨床心理学を専門性の基盤とし、そのような施策の中心的役割を担うべき実践心理職の育成プログラムと専門的心理サービスの開発を進めてきていた。一方、株式会社KEIアドバンスは大学生や社会人向けのスクール事業・河合塾KALSを運営し、臨床心理士養成大学院の受験教育などの経験を通して専門職を目指す者の教育方法についての知見を蓄積してきていた。

 下山研究室と株式会社KEIアドバンスは、高まっているメンタルヘルス対策の改善に対する社会的期待に応えるために、国家資格「公認心理師」のスタートを受けて、臨床心理学を基盤とした質の高い心理プロフェッショナル育成のプログラム開発研究を開始した。2年間にわたる共同研究の成果として、産学協創フォーラム『臨床心理iNEXT』設立。実践心理職の技能レベル別のテキストの企画・出版を進めるとともに、各専門テーマで我が国をリードする実践心理職による講義映像プログラムを開発し、公開準備を進めている。

◆シンポジウム開催と社会的意義◆
 産学協創フォーラム「臨床心理iNEXT」は、公認心理師の将来の展望を描くことを目的として、研究成果である実践心理職育成プログラムの紹介のみならず、専門性を習得した公認心理師のキャリア支援の社会的環境整備について、企業関係者を含めて議論を展開する。2019年3月21日開催のフォーラム「産学連携で“公認心理師の未来”を創る」は、産学連携のコンテキストで公認心理師の育成とキャリア支援について議論する、我が国初の、先駆的なイベントである。

◆代表者◆
 下山晴彦(東京大学 大学院教育学研究科 教授)

◆お問い合わせ先◆
 東京大学 大学院教育学研究科 臨床心理学コース 下山研究室
 電話:03-5841-3949
 Mail: shimoyamalab@p.u-tokyo.ac.jp