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入試までのスケジュール感

チュートリアル通信
「税法」科目免除大学院チュートリアル通信。「税法」科目免除大学院 試験合格者が試験対策や試験情報などを皆様に教えるコンテンツ。
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、試験対策や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、税法関連の小ネタなど、
皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
河合塾KALS 税理士「税法」科目免除大学院 講座

入試までのスケジュール感



今年の税理士試験は8月9日から8月11日です。税理士試験を受けられる方は、大学院入試の準備と兼ね合いが気になるところです。そこで、簡単なモデルスケジュールをご紹介します。
志望校によって異なりますが、仮にここでは、出願締め切りを9月15日、受験日を10月1日とします。


入試までのスケジュール感





上記の図では、「研究計画書」の作成についてのみスケジュールを組んでいます。研究テーマはできるだけ早く選択してください。その後、5・6月の2か月で研究テーマの概要をつかんで、計画書の大筋ができたところで、一度、作業を止め、6月後半からは、税理士試験に集中してください。その間も、授業は、毎週土曜日に受けていただき、基本的には、土曜日のみ、租税法の勉強の時間を取ってください。8月の税理士試験が終わってからの約1か月で、研究計画書を最終的に仕上げるという感じになります。研究計画書の中身については、5月頃に行われる「研究計画書概要講義」やチュートリアル通信でご紹介します。

注意: 一般入試生対象の学外推薦入試志望の方、大学を卒業されていない方で事前審査が必要な方は、出願前に手続きが必要になります。まずは、講師に相談してください。

論文を収集しよう

研究計画書のテーマを決めても、何を書けばよいかわかりませんね。まずは、テーマに選んだ判決についての論文「判例批評」(判例評釈、判例解説などとも言います。以下、「判批」といいます。)を読んでその判決の重要な論点などを読みとることから始めます。そのために、雑誌などから、判批や関係する論文を集めていただくことになります。今回は、少し早いですが、雰囲気をつかんでいただくため基本的な方法のみご紹介します。

(1) 事件の特定

まず、資料を集めるために、テーマに選んだ裁判を特定する必要があります。「武富士事件」や「ヤフー事件」などの事件の通称では特定できないこともありますので、「判決日」(例:最高裁で昭和60年3月27日に判決があった。高裁あるいは地裁の判決日からでも、すべての判決日がわかりますのでOKです。)を調べます。

(2)検索エンジンを使う

まずは、代表的な日本語論文検索サイトであるCiNii(サイニー)を使ってみましょう。

CiNii 

例えば、「武富士事件」と入力して検索すると。45件の論文・判例評釈が結果として現れます。そして、その中から関心のある論文等を選び、掲載されている雑誌などの名前、巻号、ページなどを知ることができます。(そのほか、LEX/DBという、判例のデータベースなどで、判決ごとの判例評釈を調べることもできます。租税資料館にもありますので、ご利用ください。)

(例)
「論文名」 国外財産を贈与した場合における受贈者の「住所」の認定--武富士事件
「筆者」  品川芳宣
「掲載誌」 税研 27(2), 66-69, 2011-09
※「税研」という雑誌の第27巻2号(2011年9月号)、66から 69頁に掲載されているという意味です。

ここで、検索結果が、少なくとも10件以上は欲しいのですが。あまり出てこない場合は、選択した判例が新しすぎて、十分な先行研究が存在しないか、研究対象としてあまり価値のないものであることが考えられます。このようなテーマを選ぶと先々苦労が予想されますので、一度、ご相談ください。

JTRI(日本税務研究センター)判例情報検索 

「JTRI(日本税務研究センター)」の「判例情報検索」もとても便利です。やはり、「判決日」やキーワードなどを使った検索が可能ですが、検索できるのは判決分と判批に限られます。

以上のような方法で、検索結果が、少なくとも10件以上あるものを研究テーマとして選ぶようにしてください。あまり出てこない場合は、先々苦労が予想されますので、一度、ご相談ください。

(3) 図書館を使う

CiNiiなどで検索した論文等は、図書館で探し、コピーすることになります。大学生の方は、大学図書館を中心に探すことが効率的です。それ以外の方は、主に、以下の2つの図書館の利用をお勧めします。私の場合は、コピー代が安かったのと、土日に開館していたので、ほとんど「租税資料館」を利用しました。有線インターネットの利用、延長コードの貸し出しなどもあり利用者にとても親切です。また、国公立大学は、通常、一般利用者を受け入れていますので、お近くにある場合は、そちらも積極的にご利用ください。

● 公益財団法人 租税資料館

所在地 「方南町駅」(東京メトロ丸ノ内線)
     東京都中野区南台3-45-13
開館時間 9時30分~17時(祝日休館)
資料コピー可。10円/枚

● 公益財団法人 日本税務研究センター 租税図書室

所在地 「大崎駅」(JR山手線)
東京都品川区大崎1-11-8(日本税理士会館2階)
開館時間 平日10時~16時45分(土日祝日休館)
資料コピー可。20円/枚

最後に

出願書類の準備、特に「研究計画書」の準備が最も重要であり、その質を高めることが合格の決め手といっても良いと思います。私は、「武富士事件」を研究テーマにしました。入学後、修論のテーマは変えてしまう方が多いのですが、私は最後まで、「国際相続」についての研究をつづけたため、思い入れの強い事件です。研究計画書の作成が、税法免除の第一歩であるとともに、税法研究者としての第一歩でもあります。忙しい中での準備になりますが、思い出に残る、楽しい研究にしてください。