チュートリアル通信2月号 MBAを卒業して変わったこと・よかったこと
河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!
◎通学していた2年間
MBAで2年間学びの時間を過ごし、修士論文が及第点となり、卒業することができました。
ただ、そこで過ごした2年間が楽しかったかというと、あまり楽しい思い出がありません。
「これから勉強を頑張ろう」「学生生活が楽しみだ!」という方にこんなことをお伝えして申し訳ありません。
私は入学前に思い描いていた学生生活と、実際の学生生活にギャップがありました。皆さんも期待値調整をして入学をすると良いかな、という少しおせっかいな意も込めて今回のチュートリアル通信を書いています。
私があまり楽しくなかった理由は、周りとうまくなじめなかったことです。
私は勉強をしたいという気持ちが強く、新しい知識を得て、思考力を高めることが入学の目的でした。周りの皆もそうだと私は勝手に思っていました。ですが、WBSでは飲み会重視や部活動に熱心な人も多く自分のスタンスと合いませんでした。ネットワーク構築の目的で実施されている方がほとんどですが、当時の自分のニーズにはハマっておらず、そのようなグループとは距離を置いていました。
結果、仲のいい友人は数人だけでした。
ただ、私の勉強の目的としてはビジネスパーソンとして実績を残すことであったので、学生仲間と仲良くなるということは2の次であり、主目的においては結果を出せたと考えています。
この2年間で、社内外の表彰を4つ得ることができました。
当時の職場では、私は人事として育成担当をしていました。人の成長を数値化することは難しいので、結果が数字で表しにくい職種です。
これを利益やコスト、評判(広告効果)などの数字に置き換えて業務遂行するということを行いました。
行政・民間・業界団体という外部の人材育成に関する表彰を3つ頂き、社内のリーダー研修においてトップの成績を出し社長への事業提案をすることも経験させてもらいました。
これの背景には、数少ない友人に法律や金融、事業開発の専門家たちに時間をとってもらい相談していたことがあります。相談したことをすぐに業務に反映させていくことをしていました。
自分ひとりでは、表彰を4つなど、決してできなかったことだと思います。
学生生活としてはキラキラしたものはありませんでしたが、その分会社員生活は充実していました。
◎卒業してから(学びについて)
2年間の学生生活を終えて卒業してから、少し変化がありました。
「あの時先生が言っていたのはこういうことだったんだ」と卒業してから実感するようになりました。
例えば企業研修であれば、懇切丁寧に「こういう場合はこう考えると良いですよ」など具体的に教えてくれますが、「こういう場合」に当てはまらないときはどうしたらいいかということはあまり丁寧に教えてくれません。
ビジネススクールの場合は少し抽象的に思考のベース、理論を学ぶことになります。応用は自分の力次第です。
応用できる力を講義で議論を重ねたり、皆の前でプレゼンをしたり、論文を書きながら磨いていきます。
正直、学んでいる最中はふわふわした中で議論が進んだり「先生はどうしてズバッと言ってくれないんだろう」とモヤモヤして、講義に出るのが辛い時期もありました。
卒業して少し時間が経ち、当時は咀嚼しきれなかったことが、今になって血肉となっていることを感じています。
「抽象的すぎて何を言っているか分からない」「説明があまり上手ではないな」と思っても、後でハッとすることがきっとあると思います。踏ん張ってください。
◎卒業してから(転職・起業)
卒業後はキャリアについて悩みました。当時の年収が相場よりも低く、転職を考えていました。
卒業して1年後、条件の良い会社に内定を頂き、働き始めることができました。
その会社へは人事として入社しましたが、残念ながらハラスメントが頻発しており、様々な部署やグループ会社からの相談が日々来ていました。また管理部門においてもハラスメントによる退職者や求職者が多く、正社員がどんどん減っていき派遣の方に頼る運営をしていました。職場環境に耐えられず、1年7か月という短期間で退職しました。
短期間での退職と、ハラスメントが横行する現場を経験したことを期に、「ハラスメント」をテーマに起業をすることにしました。
最初は自分の食いぶちを稼げれば良いくらいの気持ちでしたが、ここからMBAの真の力を実感することになります。
私は冒頭に書いた通り、友人が少なく、周りとの交流も少ないほうでした。ですが、起業したとSNSでお知らせすると、WBSの親しい友人だけではなく、在学中は顔を合わせる機会が少なかった人たち、何代も前の先輩、MBA交流会をして知り合った他校の卒業生から相談や発注が来るようになりました。
また、直接的ではありませんが「MBAを目指して、合格し卒業した頑張った人」という印象を持っていただいていた異業種の友人たちからも問い合わせを頂くようになり、法人立ち上げの1年間は、自分から営業活動をほとんどしていません。これは初年度のビギナーズラックと捉えていますが、MBA効果・威力を強く感じました。
MBAの仲間は、起業する人に対して、みんなで支えようという気持ちは強いように感じます。
◎チューターへのありがちな質問とその回答
合格された方から、この時期よく聞かれるのは「入学までに勉強しておいた方が良いことは何か」です。
私は英語と財務とお答えしています。
英語にストレスがない人は良いのですが、見るのも嫌という人もいます。その場合は、中学英語を一通り復習、単語もざっとおさらいすることが良いと思います。講義内で英語を使う場合もあります。短い英語の新聞記事を読むこともあります。専門用語は分からなくて当然ですが、基本の動詞などを知らないとおおよその意味が取れません。英語へのストレスを減らすためにも、英語からしばらく離れている人は慣れておくと良いでしょう。
財務は、多くのビジネススクールで必須科目です。何も準備しないで臨むよりも、基礎は抑えておいた方が理解も深まると思います。財務の講義が始まる前に簿記3級取得を目指すのも良いのではないでしょうか。
◎終わりに
次回は、 入学準備についてです。お楽しみに!