2018年MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信第9回 Coffee Break~MBA Expoより

チュートリアル通信
国内MBA合格者が、試験の仕組みや国内MBA対策、MBA取得後などについて語るチュートリアル通信
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第9回 Cofee Break~MBA EXPO TOKYO SUMMERより


皆さん、こんにちは。7月19日、気象庁から関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表されました。いよいよ、MBA受験に向け、研究計画書・エッセイの作成や試験対策など、スパートをかける時期に入りました。とはいえ、あまり力んでしまうのも考えものです。そこで今号はCoffee Breakを兼ねて、HOTNEWSで紹介した「MBA EXPO TOKYO 2015 Summer」から、篠田真貴子さんのスピーチを紹介したいと思います。

◎スペシャルスピーチ 「MBAから『ほぼ日』までの道のり」

プロフィール・MBA入学のきっかけ

篠田さんは慶應義塾大学経済学部卒卒業後、1991年日本長期信用銀行に入行。99年、ペンシルベニア大ウォートン校(以下、「ウォートン校」と表記。)でMBA、ジョンズ・ホプキンス大で国際関係論修士号を取得した後、マッキンゼーにて戦略コンサルティングに従事。ノバルティス・ファーマ、ネスレ・ニュートリションを経て。08年10月、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営する東京糸井重里事務所に入社、09年1月より同社取締役CFOに就任し、現在に至ります。今回は40分という短い時間で、MBA取得に至った経緯、ならびにMBAで学べたこと、学べたことを、端的に、またわかりやすくお話しいただきました。

MBA入学を決めた動機は、金融業務との適性に迷いがでたこと、また雇用機会均等法が施行されて間がなく女性としての働き方に疑問を覚えたことでした。漠然と国際機関に関心を持ちながら調べるうちに、ウォートン校でMBAと国際関係論修士を3年で取得できるコース(通常は2年×2 =4年)があることを知り、迷わず応募したとのこと。ちなみに、彼女は同時期に結婚、夫婦でMBA入学を果たしたそうです。


MBAで学べたこと、学べなかったこと
篠田さんはMBAで学べたこと、学べなかったことを3点ずつ紹介しています。
まず、MBAで学べたこととして、

(1) 広範なビジネスに関する知識が得られたこと
今後のビジネスキャリアを積むうえで「土台」を築くことができたとのこと。

(2) 「世界」でのポジショニングに気づけたこと

会社にいた頃は、社内の序列しか気づくことができなかったのに対し、外にでることで自身のポジションを知ることができた。

(3) 金融キャリアを未練なく捨てることができた

入学当時は、自身の実力でも金融業界で活躍できるという自負心があったものの、同期にいわゆる「天才」がうようよしていたそうで、彼らには勝てないとあきらめがついた(そうです)。

他方、MBAで学べなかったこととして、

(1) 全体を統合する「経営センス」
戦略論や組織論など個々の知識は習得できたものの、これらを統合してビジネスに活用できたのは、卒業後の実践で得たと感じたそうです。

(2)「内省」する機会

(3)タイムマネジメント
いわく、「子育てと仕事の両立のほうが、はるかに大変!」とのことです。

特に、2点目の「内省」については、ご自身の経験も踏まえ詳しく説明いただけました。ビジネススクールでは、いい意味でも悪い意味でも「良い-悪い」という意識、すなわち序列感が強化されます。彼女の場合、当時ITバブルで引く手あまたのなかで序列感が根付き、「とりあえず、(評価が)いい会社」という点だけでマッキンゼーを選んだ。結果、環境自体は好きだったものの、徐々に評価が下がり「戦力外通告」が下ることになります。卒業後10年を経て、現在は「良い-悪い」とは異なる評価軸、すなわち「好き-嫌い」という軸を得ることができたと語っています。
最後に、MBAで学んだことは良い経験だったと感じている、他方「内省」する機会も忘れないでほしい、というメッセージでスピーチを締めくくりました。

スピーチを聞き終えて

本稿の最後に、私なりの感想をまとめたいと思います。

彼女が強調した「内省」の説明で、”Insecure Over-achiever”という言葉が出てきました。訳すると「不安に駆られた過剰成功者」という意味です。MBAホルダーが「もっと成功したい」、「高い地位を得たい」という気持ちに駆られることで、先ほどの「良い-悪い」という評価軸につながるキャリア感を意味します。もちろん、ビジネスプランや施策を行ううえで、優先順位をつけることは大切です。ただ行き過ぎると、キャリアに迷いが生じてしまう。このことは私も共感する部分がありました。

MBAを通じてキャリアを開拓する姿勢は大事な一方、篠田さんはじめ、MBAホルダーの経験にも耳を傾け、自身を「内省」する機会が得られればと思い、今回のスピーチを紹介させていただきました。
最後に、篠田さんの取材記事を紹介して締めくくりたいと思います。

「ほぼ日」の母が、40代で最高に輝ける理由 ―― 母の正念場は、言い訳のきかない40代?
http://toyokeizai.net/articles/-/20193 (東洋経済オンライン)
                     
以上

MBAチューター