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チュートリアル通信第4回 小論文対策のポイント

チュートリアル通信
チュートリアル通信第12回
河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!
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河合塾KALSの国内MBA・MOT対策
                                       小論文対策のポイント


回のチュートリアル通信では小論文対策で気を付けるべきポイントをご紹介いたします。

小論を早く正確に作成する能力は一朝一夕で身に付くものではありません。
コツコツと継続することで思考速度が速まり、論理的な文章が書けるようになるのです。下記では小論文対策の基本事項と受講生からよくくる質問について回答していますので、参考にしてみてください。



=基本事項=
◎「正しい」書き方について

相手に文章で意志を伝えるためには、ルールに従い文章を書く必要があります。最近はPCに搭載されているワープロソフト(Microsoft OfiiceのWord等)が発達しているため、あまり意識されなくなりました。
しかし、小論文が課せられる国内MBAでは、例外なく筆記試験、すなわちご自身の手で回答を書くことになるため、ルールに従わない文章は評点が下がってしまう可能性があります。例えば、

・ 段落のはじめは1マス空けて書き始める。
・ 句読点は行頭にくるときは、手前の行の一番後ろのマス内に入れる。

などのルールは、文章を書くうえで必須です。
また体言止め(「~を中止。」など体言で文章を終えること)も間違いとまではいえませんが、読み手にとって雑な印象を与えるため小論文では控えましょう。
KALSの解答用紙は原稿用紙に準じた形式なので、文章のルールを身につけるのに最適といえます。
また、レポート・論文の書き方に関する書籍も販売されていますので、気になる方はご一読することをおすすめします。



◎誤字は禁物!
試験本番で誤字は禁物です。内容は悪くなくとも、誤字が目立つ回答はそれだけで減点対象になってしまいます。
これもワープロソフトの影響かもしれませんが、筆記試験ではご自身で誤字脱字をチェックする必要があります。
普段から落ち着いて書く、制限時間内に回答を見直す時間を確保する、といったことを課題提出時に意識することで本番に備えることができます。
また、ひらがなで書くことが多い表現を漢字で表すケースがいくつか見受けられます。
漢字を多用するのは不自然な印象を与えますし、場合によっては誤りとなる場合もあります。

例えば、
・ 事(こと)
「すること」、「書くこと」というようにひらがなで書きますのが自然です。「ため」、「ところ」などとともに形式名詞とよばれる用法では、ひらがなを使いましょう。

・ 出来る
「可能」を表す場合は、「~することが『できる』」とひらがなで書きます。

などがあげられます。KALSのテキストや、専門書や新書など比較的論文に近いタイプの文章に触れることで、自然な表現を身につけていきましょう。



◎設問を分解する
小論文を書く際に最も重要なことは、設問に沿うことです。
大学側から出題された「問い」に「答える」ことと言い換えることができるでしょう。
一見すると当たり前のように思えますが、小論文を書き始めると問いとは全く違う方向の答えを導き出そうとしてしまうことが多々あります。

問題文の指示は、必ず守らなければなりません。指示文が長い場合は、指示をいくつかの要素に分解し、すべての要件を満たしているかどうか確認することが重要です。

例えば、「筆者が主張する~について、あなたは賛成か反対か、立場を明らかにして、その理由を述べよ」という設問があるとします。
この場合、以下の3つの指示に分解することが可能です。

① 筆者が主張する~について簡潔に整理すること
② 賛成か反対か明言すること
③ 理由を述べること

具体的な回答の手順は以下の通りです。まず「筆者が主張する~とは、○○ということである」と定義します。
次に、「これについて私は賛成/反対である」と自分の立場を明言し、「以下にその理由を三点述べる。
第一に~。第二に~。第三に~」と書き進めます。このように分解すると、これから書くべき文章の構成を考えやすくなることでしょう。

◎下書きを活用しよう
小論文は、設問に対してご自身の意見を述べていきます。
時間や字数に制限がある中で、大半を特定の設問に対する根拠説明に費やしてしまい、他の設問に対する回答が手薄になるという失敗は、誰もが一度は通る道ではないかと思います。
そのようなことを避けるためにも、答案に書く前に下書用紙を活用することをおすすめします。下書きと言っても、別紙に文章を書いてそれを答案用紙に写すという方法ではありません。具体的には以下の方法で活用します。

・ 何を問われているのかを整理し、字数配分を考える。
・ 下書用紙に自分の考えをメモや図などで表現し、回答の構成を考える。
・ 整理できた時点で、答案用紙に文章を書く。

机に置ける筆記具自体をボールペンと修正テープ(ペン)に限っている学校もあります。修正による大幅なタイムロスを防ぐためにも、下書きの活用は有効です。





=FAQ=
◎小論文対策について  ~皆さんからの質問を中心に~

ここからはMBA講座受講生から寄せられた小論文についての質問をとりあげます。回答は以前チューターをなさっていた方々によるものです。おそらく、多くの受講生の方が同じような悩みや疑問を抱えていらっしゃると思いますので、是非ご参考ください。

質問① 自分の実力が合格ラインに達しているか、確認するには?

小論文は、自分の考えを書くものなので絶対的な正解はありません。
大切なのは、誰が読んでも分かりやすく、きちんと自分の考えを論理的に書くことです。
つまり、読み手を意識した文章を書くことが重要とされます。受講生の方は、先生方の添削内容から自分の実力が合格ラインに達しているか、判断することができます。
まず、設問自体が整理できているかどうかを確かめましょう。押さえるべきポイントは3点あります。

主題・・・・・・何について
問題・・・・・・何が問われ
主張・・・・・・どう答えるのか


たとえ立派な主張だったとして、主題や問題とずれていれば、及第点に届きません。
添削結果が思わしくない方は、主題や問題がご自身で捉えられているかを再度確かめましょう。
次に、主張の構成に気を配りましょう。
もし、主張の意味を正しく伝えたいならば、主張に対する解説を加えます。他方、理由を正しく伝えるならば、主張の根拠を説明します。


     どういうこと? → 解説
主張A
       なぜ?    → 根拠



大事なのは、読み手が主張を理解してもらうために、どの程度解説、あるいは根拠を加えるべきか、ということです。
通常、字数や時間に制限があるので、特定の主張に解説を加えすぎる、あるいは根拠が不足している、といった状況になっていないかを入念に確かめましょう。

質問② テキスト以外の勉強方法とは?

受験対策にかける時間があまりない方(特に、社会人)は、KALSのテキスト以外に手を広げるのは適切でないと思います。
他方で、国内外の経済、社会に関する問題に関心を持つことは、試験対策はもちろん、入学後も大事になりますので、普段から日本経済新聞や日経ビジネス、ハーバードビジネスレビューに目を通すことは有用だと思います。

質問③ テクニカルタームや経営学の知識を使って、解答するには?

無理矢理テクニカルタームや知識を使おうとせず、自分の考えを書くようにすることが重要です。
無理して使ってしまうと、読み手は違和感を覚え、逆にマイナスな印象に取られる恐れがあります。

例えば、ポーターの「集中戦略」、企業戦略の「選択と集中」、どちらも「集中」という表現が使われていますが、この違いを説明できるでしょうか。正しく説明できないとすれば、テキスト等でしっかり復習すべきですし、本番で使うのは控えるべきでしょう。
テクニカルタームを使う場合は、用語の定義や使われる場面を正しく理解しておく必要があります。


◎ネタ帳作り
小論文の問題には、対比構造を意識すると回答しやすい問題が多く存在します。

・ 経営陣と現場従業員
・ マーケティング部門と営業部門
・ 日本市場と世界市場(グローバル)
・ 日本的経営と米国型経営
・ 男性と女性(最近ではダイバーシティ&インクルージョンマネジメント含)などなど

 それぞれ、どんな点が異なるでしょうか。その背景や理由、もたらす結果は何でしょうか。
 論点をメモし、ネタ帳に書き出しておくと、同様のテーマを扱った小論文に取り組む際、スムーズに回答できます。

◎模範解答を読む
他人の書いた小論文を読むと、うまい!と思う接続詞や語尾など、普段自分が使っていない言い回しに出会うことがあります。
ボキャブラリーを増えると回答の幅が広がります。
うまい言い回しを探すという観点で模範解答を読むことは勉強の方法の一つになり得ます。
KALSのドリルや市販の小論文対策本の解答ページをおすすめします。

MBAチューター

※ この記事は、前任の佐脇・望月チューターの原稿をもとに作成しています。