心理・チュートリアル通信「研究計画書」(2)
2021年秋学期
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
心理・チュートリアル通信「研究計画書」
新大阪校チューター : 阿部
こんにちは。河合塾KALS新大阪校、心理系チューターの阿部です。
さて、今回のテーマは【研究計画書 サンプル集の活用法】です。
大学院を受験する際に多くの方がこの研究計画書で頭を悩ませているのではないかと思います。「書こうと思ってもどのように構成して書き進めていけば良いのかわからない」「なにから取り掛かって良いかわからない」「そもそも研究計画書ってどんなもの?」など、「わからないこと」がたくさんあると取り組むモチベーションも湧きませんよね。うまく進められずに時間だけが過ぎて焦ってしまう…は研究計画書あるあるなのではないでしょうか。
今回は研究計画書に関する「わからないこと」を1つでも減らして、周りの資源を上手く活用しながら進められる方法を知っていただければと思います。そのために、まずは研究計画書とはどのようなものなのかを軽く説明しながら河合塾KALSで利用できるサンプル集の活用法について説明していきます!
・研究計画書とは
研究計画書は「大学院入学後に行いたい研究内容と、その研究を行うための計画について」を所定の様式に沿って作成したものになります。多くの大学院で出願の際にこの研究計画書を提出することが求められます。卒論のテーマと関連付けて研究計画書のテーマを決める方も多いですよね。作成にはかなりの時間を要するため、早めに取り組むことが大事です。
※大学院によって文字数や形式は様々なので、志望校が決まったらその大学院の形式をチェックしておきましょう!
・研究計画書を書く流れ
まずは漠然とでもいいので自分の興味・関心が何にあるのか考えてみましょう。将来どのような領域に進みたいのか、どのような人を対象にしたいのか等、自分の将来を思い浮かべてボトムダウン形式で考えると絞りやすいと思います。
②文献を読む
ある程度興味・関心が絞られたら文献を読んでみましょう。文献は以下の方法で探すことができます。
・ネット上の文献検索システム:CiNii,GoogleScholar など
・図書館:大学の図書館には論文が多くあり、なければ取り寄せることも可能
※出願まで時間がない場合、文献を手探りで読み漁ることは効率が悪いため、時間に余裕がない人ほどしっかりとキーワードを絞って文献を選択することお勧めします。
③実際に書いてみる
研究計画書は主に「問題背景と目的→方法→仮説→臨床的意義→分析方法→文献」の順番で構成します。
④添削と修正
ある程度文章が形になってきたら講師やチューター、または大学のゼミの教授など、複数の方に読んでいただくことをお勧めします。様々な観点からの指摘をいただき、修正・添削を繰り返すことでよりよい研究計画書が出来上がっていきます。
大まかに分けるとこのような4段階になりますが、取り組んでいくとこの①~④をいったりきたりする方が多いのではないでしょうか。一人で取り組んでいると途中で心が折れてしまいそうになったり、どうしていいかわからずに行き詰ってしまったりしてしまう時もありますよね。河合塾KALSではそんな行き詰ってしまった時や、そうなる前から利用できるサポートがいくつかあります。ではそのサポートについて見ていきましょう。
・河合塾KALS利用できる主なサポート
①講師の研究計画書指導
講師の先生には2回個別指導をお願いすることが可能ですが、回数も限られているため研究計画書が形になるまではチューターを利用することをお勧めします。
②チューターの利用
チューターは何度でも利用可能のため、「研究計画書の何から取り組んでいいのか分からない…」ということから書き上げた研究計画書の添削までいつでも利用可能です。一人で悩んで立ち止まっている人も、ぜひ気軽に相談してくださいね。
③研究計画書のサンプル集の利用
過去の受講生が作成した研究計画書を大学院別に保存しておりいつでも閲覧可能です。
では今回のテーマでもある③サンプルの利用について少し掘り下げてみましょう!
・研究計画書のサンプル集の利用法
河合塾KALSでは、過去の受講生が作成した研究計画書を閲覧することができます。それが研究計画書のサンプル集です。どのタイミングでサンプルを利用するかは自分の特性を踏まえて考えていただければと思います。例えば、サンプルを見てしまったらその具体例に引っ張られてしまい柔軟な考えが浮かばない人は、先にサンプルを見てしまうと自分の研究計画書の幅が狭まってしまいますよね。そのような方はある程度自身の研究の情報収集ができてテーマも決まった後に見るのも一つです。では他にどんな利用の仕方があるでしょうか?
①研究計画書のイメージが全くわかない人
文献や講師、チューターから大まかな流れや書き方の手順は習ったけれど、いまいちイメージが掴めない…という方にはぜひ一度サンプルを見ることをお勧めします。何事も百聞は一見に如かず。自分の研究計画書を書く前に一度見てみることで、研究計画書の大まかなイメージができるようになるのではないでしょうか。研究計画書の書き始めや分量、書き方など具体的にイメージできることで一気に取り組みやすくなります。何をすればいいのかがわかることでモチベーションもぐっとあがるものです。
②自分が志望する大学院の研究計画書を見たい人
研究計画書のサンプルは大学院別に保管されています。自分が進学したい大学院を抽出して、他の受講生がどのような研究計画書を提出して合格しているのかを見ることで自分の研究計画書のヒントにしたり、モチベーションを上げるために閲覧することも可能です。やはり文献などに書かれている出来上がったサンプルを見ることと同じ立場だった生徒のサンプルを見ることでは感じ方が異なるという方も多いです。
③自分と似たテーマの研究計画書を見たい人
全く同じテーマではなくてもキーワードが一つ同じというだけで書き方や構成の仕方がぐっとイメージしやすくなります。論文も研究計画書と似たような構成ではありますが、やはり同じ形式で書かれてあるものを見るとイメージが湧きやすいですよね。
④面接対策として使用する
河合塾KALSでは研究計画書のサンプル集だけでなく、合格者が面接ではどのような質問をされたのかということについても記録を残してくださっています。自分と似たテーマを研究計画書にされた方が面接ではどのような質問をされたのかを確認するためにこのサンプル集を利用するのも一つではないでしょうか。 このように、サンプル集の利用のタイミングや目的は個人の自由です。サンプル集があることを知らなかった方はぜひ一度ご自身のタイミングで利用してみてはいかがでしょうか?これは個人的な経験談ですが、「何をしていいかわからない」という状態はモチベーションも集中力も続きません。また、闇雲にもがくことも時間が有限な受験という状況下においては非常に効率が悪いですよね。自分一人の力で全て解決できることも素晴らしいですが、せっかく様々なサポートを受けることができる環境下ですので、一度利用してみてご自身に合った受験スタイルを見つけてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!きっと実際に研究計画書に取り組めばどうしたら良いかわからないことがたくさん出てくるのではないかなと思います。そんな時はぜひチューターさんたちに気軽に相談してくださいね。話すことで頭の中が整理されたり、新しい発見があったりするかもしれません。大事なことは自分の特性を理解して、いかに周りの資源を上手く利用できるかではないでしょうか。初めての取り組みは誰でもわからないことがたくさんあって不安なものなので、ぜひ一緒に考えて受験を乗り越えていきましょうね!