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心理・チュートリアル通信「専門科目(心理学)の学習法」(3)

2021年秋学期
河合塾KALS 臨床心理士指定大学院講座 チュートリアル通信
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
心理・チュートリアル通信
「専門科目(心理学)の学習法」(3)

新大阪校チューター: 越川  


「大学院受験専門科目(心理学)の勉強方法」

こんにちは、新大阪校でチューターをしております、越川陽介と申します。
11月に入り肌寒い季節になってきましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今回は「大学院受験のための心理学の学習方法」をテーマにお送りいたします。

今回は以下の二つの内容についてご紹介します。

  • 専門科目ってどんな内容が出るの?
  • 具体的な学習方法
*この記事は心理系の大学院受験を想定されている方の中でも、特に、これから勉強を始めようと考えている学部生の方や、他学部から臨床心理士を目指そうと考えている方、セカンドキャリアとして心理士を目指そうとしている方などを想定して執筆しています。


・専門科目ってどんな内容が出るの?

臨床心理士・公認心理師を目指すのであれば、その学問的な背景を知る必要があります。そういう意味で「臨床心理学」という専門分野は必須であると言えます。大まかにこの分野を分けると「心理療法」「心理アセスメント」「地域援助」に分けることができます。
  • 「心理療法」には精神分析や認知行動療法、家族療法、人間性中心療法など、様々なアプローチがあり、それぞれに専門的な概念が存在します。その心理療法を作った人の生涯や考え方が、そのアプローチに色濃く反映されていますので、どんな人が提案したのか、どんな場面で用いられるのか、などを把握して行くと覚えやすいでしょう。
  • 「心理療法」では、心理的に困難さを抱えた人が、どういった要因でその困難さを抱えているのかをアセスメントしていくために必要な方法や検査を学習して行く必要があります。一つの検査だけではその人全体の特徴を把握することはできません、一つ一つの検査の得意不得意を理解して、検査の使用用途や使用方法などを理解することが必要となります。
  • 「地域援助」では、心理学の専門的な知見を実際の現場に還元していきます。学校や職場など、そこで起こっている問題について理解して行くことも必要になります。

そのほかにも、近接領域である「精神医学」に関しても理解しておく必要があります。
  • 精神疾患としてどの様な病気が存在するのか、「うつ病」や「統合失調症」、「発達障害」などの各疾患がどの様な特徴を持ち合わせているのかを理解したり、それを診断するためのツールとしてのDSMやICDなどの診断基準について理解することが大切になります。
また、心理学は「臨床心理学」だけではありません、そのほかにも学習心理学、認知心理学、発達心理学などなど様々な心理学が存在します。臨床心理学は応用心理学の一つとされていますが、基礎心理学という基礎的な心理学の知見に基づいて臨床心理学が構成されている側面もあります。このため、臨床心理学を支えている基盤的な知識についての学習も必要となってきます。
大雑把に言ってしまうと「心理学に関して幅広く問題が出ます」ということになりますが、それだとどこかれ手をつけていったら良いか分からなくなります。上記のことを念頭に置き、試験の中心となる「臨床心理学」とそれに関連のあるそのほかの分野の心理学を上手に関連付けながら勉強することが効率の良い勉強の仕方になります。

・具体的な学習方法

考え方は理解できたけれど、具体的にはどうしたらいいの?という疑問を持たれるかもしれません。オススメの勉強方法としてよく提案させていただくのが、「用語説明カード(ノート)」を作ることです。「用語説明カード(ノート)」は、その名の通り、専門用語の説明をカードやノートに自分で作っていく学習方法です。
入試問題で多くの大学院が出題する形式があります。それが「用語説明」です。専門用語が提示され、200字で説明しなさい、の様に字数を指定してその用語を説明するタイプの問題です。この問題では、提示された専門用語にとって必要なキーワードを的確におさえて、限られた字数の中で全体を上手にまとめて説明できるかが要になります。このためには、単に用語を暗記するのではなく、自分の言葉でまとめいく作業がとても有効です。

作成のポイントは
  1. 説明の頭に定義を明記
  2. 論理的である様に心がける
  3. 分野別に分ける
  4. 英単語もセットで覚える
  5. 繰り返し練習する
です。

  1. については、専門書や心理学辞典や心理学事典、ハンドブックなどを参考に定義を書いてみるのがオススメです。複数の参考書をみると共通で書かれている内容と、参考書によっては書かれていない内容とに分けることができます。共通で書かれている内容を中心にまとめていくと、知識に偏りが生じなくて良いでしょう。
  2. については、「相手にわかりやすく説明する」ことを意識して、理解してもらうにはどんな順序でまとめたらいいのかを考えてみましょう。
  3. については、ランダムに用語をまとめていくと、用語同士の繋がりがなく、膨大にある専門用語を全部まとめるなんてとても無理だと感じてしまいがちです。分野別に分けてまとめることによってカード同士の繋がりなども明確になり、専門用語のまとめをして行く中で、その分野について体系的に学習することにつながっていきます。
  4. については、入試では英語の試験を課す大学院が多くあります。英語対策を兼ねて行うことで効率性を上げて行くことができます。
  5. については、まとめた内容を自分のものにするためには繰り返し行うことが大切です。回数を重ねることで記憶の定着を図りましょう。

簡単ではありますが、心理学の専門科目の学習についてご紹介しました。紙面の関係上、限りがありますが、KALSではチューターによる相談を受け付けています。状況は受講生の方それぞれだと思いますので、私に合った学習方法ってどんなものだろう?ということを思った方はぜひ相談の予約をしてみてください。
お待ちしています。