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心理・チュートリアル通信「実力診断テストの活用法」(2)

2021年秋学期
河合塾KALS 臨床心理士指定大学院講座 チュートリアル通信
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
心理・チュートリアル通信「実力診断テストの活用法」(2)

新大阪校チューター : 阿部  



みなさん、こんにちは。河合塾KALS新大阪校、心理系チューターの阿部です。
そろそろ春入試の出願の時期ですね。勉強は最後の追い込みの時期でしょうか。まだまだ寒い日が続くので、受験の前だからこそ体調には十分に気を付けて勉強に取り組んでくださいね。

さて、今回は【実力診断テストの活用法】をテーマに書かせていただきます。実力診断テストは春期・秋期それぞれで行われていますよね。そのテストをどのように活用していけば良いのかについてお話したいと思います。

そもそも何故実力診断テストはあるのでしょうか。河合塾KALSの実力診断テストは強制参加ではなく申込制度ですよね。受ける気がなければ受ける必要はありません。そのため、時折実力診断テストを受けなかったという受講生のお話も時折耳にすることがあります。テストという響きはそれだけで気が重いですし、知識が定着している感覚が薄ければテストを受けることは怖いですよね。でも、テストを受けることによって大きなメリットがあります。

①自分の現時点での実力を知る

「実力診断テスト」の名前の通りですね(笑)実力診断テストは現時点での学力や理解不足な分野を把握する上で非常に重要になってきます。現時点の自分の学力や苦手な分野を把握することで学習のスタイルを見直し、より効率よく勉強していくヒントになります。すでに志望校が決まっていて過去問もチェックしている方は特に、よりその大学院の傾向に沿った勉強法を取り入れることが可能になります。また、講師やチューターも漠然と苦手を伝えられるよりも勉強の傾向や苦手分野が細かく把握できた方がより個人に沿った助言が可能になります。

例えば、一括りに「英語が苦手」と講師やチューターに伝えると、まずは下記のような分析から入られるのではないでしょうか?
*和訳が苦手?要約が苦手?
*読解の時間が間に合わない?
*暗記が苦手で単語が覚えられない?
*文法はわかってる?そもそも文法から分からない?など

英語の出題形式は一般的に(1)全文和訳 (2)部分和訳 (3)要約 (4)その他 から成り立つため、何が苦手かによって対策は異なってくるのです。また、「全部苦手」という受講生の声も少なくはないので、そのような時には他の分野の勉強も加味してどのような配分で勉強を進めていくのかスケジュールを事前に立てて見通しを持って取り組むことも大事になります。少し話が逸れましたが、このように自分の苦手を把握するためにも実力診断テストは存在しています。また、勉強法の助言を求める際にもより具体性をもって伝えることは今後の自分の学習スタイルを見直す大きな機会になりますよね。
今回は実力診断テストの活用法のため具体的な勉強法までは記載しませんが、英語や院理学の勉強法についてはすでに別のチュートリアル通信にてチューターさんからご紹介されているので、気になる方はぜひそちらのチュートリアル通信をご参考くださいね!

②試験という環境の練習になる

みなさんは試験という場において緊張しますか?前日は眠ることができますか?いつも練習問題を解いているようにスラスラと答えは出てきますか?時間内に問題を解くという練習をしていますか?周囲の人の筆音が聞こえても焦らず集中できますか?他にもいろいろとお聞きしたいことはありますが、「テスト」といういつもと環境の違う場面における自分の状態をみなさんはどれほど把握できているでしょうか。小・中・高のテストの時間を思い出してみてください。「あ~~この問題昨日解いたのに…」「隣の人もうページめくってる」など、テスト場面になるといつもは分かる答えが出てこなかったり、いつもは自分のペースで進めていたはずが途端に周囲が気になったりしませんでしたか?
テストにおいて大切なことは「限られた時間の中で自分の最大限の力を発揮すること」です。そのためには知識を頭に入れるだけでなく、テストの場に慣れておくことや自分の試験環境の傾向を把握して対策することが大事ですよね。前夜に緊張して眠れないと当日頭が働かない…なんてこともあります。受験は当日だけの勝負ではありません。ちなみに私は試験前夜は緊張してなかなか寝付けないタイプです。寝よう!寝なきゃ!と思ったら余計に眠れなかったりするんですよね…。これは睡眠時間が削られると途端にパフォーマンスが落ちてしまう方にとっては大きな要因ですよね。人によって何がパフォーマンスに響く要因になるかは異なります。そしてその要因に関しては実際にその環境や似たような環境を体験してみて気付くものも多くあります。さて、ここでもう一度質問します。みなさんは試験環境における自分の状態をどれ程把握していますか?そしてその対策としてどのようなことに取り組んでいますか?

このように、テストは学力とコンディションの2側面が柱となります。いくら知識を頭に入れても、当日その力を発揮できなければ何の意味もありません。厳しいことではありますが、テストに関しては結果が全てですので「答えは間違っているけれど頑張って取り組んでいた」ことは評価されません。また、テストの合格者のみが面接に進むことができる大学院も少なくはありません。謂わば、テストは受験の第一関門ですよね。本番までに練習を重ね、その結果に基づいて対策することに越したことはありません。

実力診断テストも結局本番ではなく練習だと切り捨ててしまうことは簡単です。実際、どこまで本番を想定して取り組むことができるかはみなさん次第です。確かに、結果が数字となって出ることは怖さもありますよね。結果によっては落ち込んで、しばらくモチベーションが湧かないということもあるかもしれません。しかし、本番前に自分のことを把握しておくことはとても大事なことなのです。
また、私はいつもカウンセリングで志望校の相談を受けた時、本命の大学院の前に一度別の大学院を受験することをお勧めしています。この理由も上記の①学力の把握と②自分の試験環境における傾向の把握のためです。ただ、この方法はお金の問題もあるため無理にお勧めはしませんが、ご自身の今の環境や傾向を考慮してぜひ検討してみてくださいね。

いろいろと話しましたが、実力診断テストをどのように活用するかはあなた次第です。ただ、受けるのが不安で一歩を踏み出せない方にはぜひ受けていただきたいです。様々な思いがあるとは思いますが、結果が出た後にどのように今後学習していけば良いのかわからない、テストを受けたことによって不安が増してしまった、この結果でどこの院にいけば良いのか迷い始めたなど、何かあればその時にはぜひチューターさんに相談してみてください。一緒に今後のことについて考え、整理できればと思います。みなさんの受験を少しでもお手伝いできるよう、できる限りのサポートをさせていただきたいと思っています。受験当日は自分自身との闘いになってしまいますが、受験までは様々なサポートを受けることが可能です。一人で悩まずにぜひ周囲の方の力を借りながら、当日最大限の力を発揮できるよう頑張っていきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。みなさんの努力が実ることを心から願っています。