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心理・チュートリアル通信「2022年度秋入試に向けて」(2)

2021年秋学期
河合塾KALS 臨床心理士指定大学院講座 チュートリアル通信
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
心理・チュートリアル通信「2022年度秋入試に向けて」(2)

新大阪校チューター : 越川  



「来年に向けて、これから始める院受験」

みなさまこんにちは、河合塾KALS新大阪校でチューターをしています、越川陽介です。寒さも厳しい時期ですがいかがお過ごしでしょうか?

2月に入り、KALSの授業は一段落というタイミングではありますが、来年度の試験に向けて動き出すなら今!ということで、来年に向けて今準備すべきことについて今回はお伝えしたいと思います。内容は以下の通りです。

・登る山を決める「志望校選び」
・属性別、専門科目の学習で意識するポイント


・登る山を決める「志望校選び」

これから、大学院合格に向けて準備をして行くことになるかと思いますが、あなたは既に目指すべき山、つまり志望校は決定していますか??KALSの授業が本格的にスタートするのは4月からだから、勉強はそこから頑張ったらいいや、と思っている方もいらっしゃるかもしれません。けれどよく考えてみていただけたらと思います。秋試験と言われる試験まで実はそんなに時間がありません。試験が8月にある大学院だったら7月頃には願書を提出していなければなりません。そうなると、4月からのおよそ3ヶ月ちょっとで、専門科目と英語と、研究計画書と志望理由書の作成と面接対策と...これらのことを、日常生活を送りながら行わなければなりません。大学の授業、卒業論文作成、アルバイト、あるいは仕事をしながら...そう思うと、なかなかハードモードですよね。

4月からの時間を焦らずに過ごせるように今できること、その一つが志望校選びです。志望校選びのポイントは過去にご紹介しておりますので、そちらをご参照ください(志望校選びに関して https://school.kals.jp/information/clinical-psy-2018/28238 )
では、今、志望校を決めておくとどんな良いことがあるかをご紹介していきたいと思います。

1.学習スケジュールを立てられる
志望校が決まらないとどのくらいのペースで準備を進めていったらいいのかが分からなくなり、モチベーションが続かなかったり、頑張りすぎて入試当日までに燃え尽きてしまったりしてしまう可能性があります。ご自身が受験する年度の日程がまだ公表されていない場合もあるかもしれませんが、前年度の入試日程からある程度日程を予測することは可能です。その日程を目標として組み込むことで、学習スケジュールを立てやすい点がメリットです。

2.研究計画書のテーマ決める参考になる
研究計画書の作成は多くの受験生にとっては厄介な作業です。その理由の一つとして、何をテーマに選んだらいいか分からない、という理由があります。そんな時、志望校が決まっていると、そこに所属する教員の専門性や、在籍していた大学院生の修士論文などを確認することができ、そこからテーマを選ぶことができます。こうすることで、やっとの思いで決定したテーマが志望校では指導してもらえなかった、などというミスマッチの回避につながります。また、ある程度選択肢が決まっていることで、何もないところからテーマを決めるよりも、自分の興味を検討するきっかけにつながります。興味のある分野が分からない、現実的な理由で志望する大学院が限られる、というような方にとってはテーマを決めるのに役立つと考えられます。

3.専門科目の学習で優先順位が立てられる
志望校が決まっていると、過去問をみて、その大学の傾向や試験問題の難易度を推し量ることができます。そうすることで、志望校で頻出の分野を優先的に勉強したり、頻出分野の関連の分野を勉強したりと、どこから手をつけたらいいのか、ということが明確になります。心理学の分野は、学んでいこうとすると膨大な量の学習が必要になります。幅広く知識を持つことも大切ですが、限られた時間の中で大学院に合格するために勉強をする、ということを想定した場合、学習する順番を設定しておくことは、モチベーションの維持にもつながります。

以上のような点から、2月のタイミングで志望校を決めておくことには受験を進める上での大きなメリットを得ることができます。スタートダッシュを決めるためにも考えてみてください。

・属性別、これから始める専門科目学習で意識するポイント

続いてはこの時期に一度確認しておきたい学習する上で意識するポイントについて紹介したいと思います。
キーワードは

「広く-浅く」と「狭く-深く」

です。

「狭く-深く」については一つ上のトピックでお話ししたように、学習する範囲を狭めて掘り下げて勉強していくことです。これからお話しするのは、これから本格的に専門科目を学習する前に、心理学分野の全体像を把握するために視野を広げて、その分野に必要な最低限の専門用語を覚えていく、という「広く-浅く」の学習スタイルの大切さについてです。

そのことについて、ここでは受講生の属性を3つのグループに分けて説明していきたいと思います。現役生グループ、心理学これからグループ、対人援助経験グループの3グループですそれぞれのグループの説明は以下の通りです。

現役生グループ...心理系の学部に所属している現役の学生
心理学これからグループ...他学部在籍の現役学生、他学部卒業後セカンドキャリアとして心理職を目指す社会人
対人援助経験グループ...これまで対人援助職として勤務していたけれど、臨床心理士の資格を目指して受験をする社会人

まずは現役生グループです。このグループの方は、授業でも心理学を学んでいて、すでに心理学の学習が進んでいる方達です。このグループの方々が大学院入試の勉強をする前に意識した方が良いおすすめポイントは「自分の学びの偏りを確認する」ということです。
このグループの方々は、これまで授業で心理学を学んできたかと思います。しかし、大学によるカリキュラムやご自身が履修した授業、授業をしてくださる教員の方の専門性、などによって学んでいる内容はバラバラです。だからこそご自身が学んできた専門科目が、心理学という学問の中ではどのくらいの領域をカバーしているのか、知らない分野はどれくらいあるのか、これらを「広く-浅く」の学習の中で確認していっていただけたらと思います。そして、知っている分野と、これから学ぶ分野の知識を関連づけて覚えていくことで、知らない領域をどんどん減らしていくことが受験勉強の一つの戦略になると思います。

続いて心理学これからグループのみなさまです。おそらく心理学の専門知識はゼロに等しい方がほとんどではないかと思います。場合によっては独学で勉強されていたり、一般教養の授業で学んだことしかない、という方もいるかもしれません。このグループの方々はまず、心理学という学問全体像を把握していくことが大切です。イメージとしては世界地図で各大陸を覚えること、そして、主要な国の名前を覚えるように、概念的に大きなものから覚えていき、だんだん細かい内容を覚えていくこと、がおすすめです。間違ってもいきなり専門書の注釈に書いてある用語まで全部を覚えようとしないでくださいね。それは、世界地図で小さな国の首都の隣にある街の名前から覚える、みたいなことになります。これを始めると終わりが見えずに絶望感に苛まれてしまいます。
また、このグループの方々はもしかしたら、ご自身が心理学で興味持ったテーマなどがあり、それをきっかけに受験を決めた方もいるかもしれません。「友達が不登校になった経験があって、そういう人の支援をしたい!」などがそれに当たります。このように興味のあるテーマがあることは学習する上でのモチベーションにも繋がるため、大変良いかと思います。しかし、注意しないといけないことは、「心理学は不登校に関するものばかりではない」ということです。つまり、興味のあるテーマ=心理学、ではないため、大学院合格のためには自分の興味のないことも勉強する必要が出てきます。

最後に対人援助職経験グループのみなさまです。このグループの方々は福祉や看護など近接領域の経験があり、対人援助職の現場を実際に知っているという強みがあります。しかしながら、心理学の学問としての知識はこれから、という方も多いかと思います。このため、心理学これからグループの方々同様、世界地図を覚えるかのように、心理学の全体像の把握から務めることが大切です。また、このグループの方々の場合は実際の現場を知っているので、そこで経験した内容を学習している知識と結びつけて覚えていくことで、より活きた知識となりますし、記憶の定着にもつながりやすいかと思います。

以上のように来年4月からのスタートに向けて、2月の今からでもできる内容について、「志望校選び」「専門学習の意識するポイント」としてお伝えしました。紙面の関係上、限りがありますが、KALSではチュータによる相談を受け付けています。状況は受講生の方それぞれだと思いますので、私に合った学習方法ってどんなものだろう?ということを思った方はぜひ相談の予約をしてみてください。

お待ちしています。