MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信6月号 書類審査対策

2020年度MBAチュートリアル
河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!


◎書類審査とは?

 書類審査とは、国内MBA受験において、出願書類の審査のことを指します。書類審査は筆記試験(小論文)や面接試験の前に行われるものです。学校によっては書類審査を突破した受験生のみ、書類審査や面接の受験を認めます。したがって、自身が納得する書類を書き上げることが重要なだけでなく、読み手(ビジネススクールの教員)が良いと思う質に書類を仕上げる必要があります。
書類審査で問われる内容は学校によって異なりますので、本チュートリアル通信の読者の皆さん自身で各校の募集要項を確認して把握して欲しいです。ただし、以下に述べる事項は、概ねどこの学校でも質問されることです。しっかり回答を用意しておきましょう。
1. 志望動機:なぜMBAを目指すのか?
2. 入学後の学習計画:入学後に何を学ぶのか?何を研究していくのか?
3. 修了後のキャリアゴール:MBAを修了したらどんなキャリアを歩みたいのか?
以上の3つに加え、学校独自の設問に対する回答、住所、電話番号、メールアドレス、学歴、職歴、保有資格情報、英語試験のスコア等の個人情報を記入します。多くの場合、出願書類は各学校のWEB上に記入し、プリントアウトした後に、書留で郵送します。

◎書類の作り方
 志望動機、入学後の学習計画、修了後のキャリアプランはそれぞれが独立しているわけではなく、相互に密接に関連しています。書類を作成する際は、まず現在の業務や自身の問題点を洗い出します。その後、キャリアゴールをイメージします。キャリアゴールと業務や自身の問題には壁やギャップがあることが分かります。その壁やギャップを乗り越えるために〇〇大学のMBAが必要という構成になります。これを図示すると以下のようになります。

図


◎志望動機と何を学ぶかは問題意識に端を発する
 皆さんは何故MBAを目指すのでしょうか。無論、この問いに正解はないですし、一人ひとりMBAを志す理由は異なることでしょう。だからと言って、どんな理由でも認められるわけではありません。KALSでチューターをしていると、MBAを目指す理由に以下の事項を書く方が稀にいます。
  • 卒業した大学が第一志望校ではなかったから
  • MBAって響きがカッコ良いから
  • 丸の内や表参道のようなお洒落な場所で学びたいから
いずれもMBAを目指すきっかけにはなるでしょうが、これらのことを志望動機に書いても合格しません。志望動機で重要なことは現在の業務における問題意識です。つまり、今担当している業務の問題は何かを明確にしておくことが重要になります。ただし、問題意識は現場目線ではなく、経営目線で持つようにしてください。なぜなら、MBAは企業や組織のトップの立場でどう意思決定をするかを学ぶ場所だからです。
少し分かりづらいと思うので、具体例を挙げましょう。仮に皆さんが牛丼店を複数経営している企業に勤務しているとします。自身が牛丼を綺麗に盛り付けられないことを問題と思っていても、それはMBAの問題意識とはなりえません。なぜなら、綺麗に盛り付ける方法は店舗で誰かに訊けば良いからです。この場合、経営目線の問題意識になりえるのは例えば以下のようなものになります。
  • 店舗従業員の離職率が高いので、仕事へのモチベーションを上げる方法を研究したい
  • 競合店と差別化できておらず客足が悪い。他社にない店舗を作る戦略を研究したい
  • 顧客に回答してもらったアンケートを分析し経営戦略に生かすため、統計学を学びたい。

◎キャリアゴール
 前出の志望動機と同様に、キャリアゴールにも正解はありません。10人いれば、10人とも異なるということです。私がカウンセリングした限りにおいては、今の職場で上の役職を目指したい、経営企画部門等別の部署へ異動したい、起業したい、戦略コンサルタントに転職したい、家業の経営をしたい等をキャリアゴールに挙げる人が多かったように思えます。

◎なぜその学校のMBAなのか
 志望動機とキャリアゴールがクリアになれば、なぜMBAが必要かはある程度説明できるようになります。ただそれだけでは出願書類としては不十分です。MBAに行くにしても、なぜその学校なのかという問いに答える必要があります。その際、注意しなければならないことは、学校のWEBサイトやパンフレットに書いてあることをそのまま書いてはいけないということです。このようなことをする受験生は多く、他の受験生と差別化できないからです。オリジナリティがないということです。
 人とは違う理由を書くには、実際にその学校に足を運んで、教員や在校生の声を聴き、キャンパスや校舎の雰囲気を掴んでおきましょう。日本経済新聞社等が主催する合同学校説明会に参加するのも良いです。足で情報稼ぎ、自身の出願書類に使えそうな情報を盛り込んでいきましょう。

◎終わりに
 今月のチュートリアル通信を読むと、書類審査対策は大変だと思うかもしれないですね。その通りです。書類作成は大変です。1回や2回で出願できるような書類を作成することはできないです。したがって、KALSの講師やチューターからのフィードバックも活用しながら、何度も書き直して書類を完成させていきましょう。来月は面接対策について取り上げます。お楽しみに!