MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信8月号 学生生活①(KBS基礎科目)

2020年度MBAチュートリアル
河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!


◎はじめに

 8月と9月のチュートリアル通信は、主としてKBSの学生生活についてお送りします。8月はKBSの基礎科目に、9月は専門科目に焦点を当てていきます。


◎KBSの基礎科目とは?
 KBSの基礎科目は修士課程1年の学生全員が4月から翌年3月にかけて履修する科目群になります。1学期(4月~7月)は組織マネジメント、会計管理、マーケティング、経営科学の4科目を、2学期(9月~12月)は財務管理、生産政策、経済・社会・企業の3科目を、3学期(1月~3月)は総合経営の1科目を学びます。合計で8科目ある基礎科目を学んでいきます。
 KBSを修了するためには、合計で54単位必要になります。基礎科目は1科目4単位あり、その合計単位は32となります。つまり、KBSでの学びの実に60%は基礎科目が占めることになります。残りの40%は専門科目とビジネス・ゲームが占めます。専門科目は修士2年生でも履修しますので、修士1年生は勉強時間の大半を基礎科目に費やすと言って良いでしょう。
 授業は後述するように、ケースメソッドで進められます。それだけでなく、各科目には中間試験と期末試験(いずれも論述)があり、グループプレゼンテーションや個人レポートの提出も求められることが多いです。かなりタフに学ぶことが求められると言って良いでしょう。

◎ケースメソッドとは?

 基礎科目の授業は、教員が学生に一方的に講義をする形式をとっていません。Harvard Business Schoolが生み出したケースメソッドという形式の授業を行っています。ケースメソッドとは、「学生や受講者が、実際の企業や組織が直面した経営課題を記述した教材(ケース)を事前に読み込んだうえ、各人の分析結果あるいは意思決定の内容やその理由を教員のリードの下で発表し、議論する授業形式」を言います(KBS WEBサイトより)。
 稀にケースメソッドのことをケーススタディと言う人がいますが、両者は異なるものですので、注意しましょう。KBS WEBサイトによると、ケーススタディは「論文などの研究の成果物で、執筆者の分析や解釈が書かれた教材の内容について学ぶこと。記述されているのは『事実(現実に起きたこと)』であるが、そのケースから学ぶべき事項を特定し、理解を助けるための解説資料などを用意し、学習者は「教えてもらう」という受け身の姿勢で学習する」とあります。
 一方で、ケースメソッドは同WEBサイトによると、「特定の学習目標を達成するために、意図的に構成された教材を用いて、学習者同士の討議を繰り返すことで実践力を身につける教育手法。ケースは教育の素材ではあるが、一般的な教材とは異なり、記述されているのは『事実(現実通りとは限らない)』であり、学ぶべき事項(知識や理論など)は与えられず、それらは学習者自身が考えて作り出していかなければならない。学習者自身が主体的に学ぶ学習方法」とあります。
ケーススタディがいわゆるLearning Pointが明確に定義されているのに対し、ケースメソッドでは明確になっていません。何が問題で、どうすれば良いかは受講者自身が主体的に考えて見つけ出さなければならないわけです。

◎ケースメソッド授業の流れ
図
図1:ケースメソッド授業の流れ(KBS WEBサイトより)


◎どれくらいのケースを読むのか?
 基礎科目は試験日も含めて約25セッションあります。その全てでケースを読むとすると、1年間で少なくとも200ケース扱うと計算できます。これは概ね正しく、私が基礎科目を受けた年は全部で207ケース読みました。1年は365日あり、そのうち平日は244日。夏休みの8月を除くと、213日となります。つまり、休みの日以外は平均して毎日1ケース読む計算になります。ただし、現実的には、1日2ケース読んでいくことが圧倒的に多いです。
 ケースのページ数はどれくらいあるのでしょうか。私が基礎科目で読んだ全207ケースの平均ページ数は21.33ページでした。最も短いケースは1ページで、最も長いケースは108ページありました。1年で読んだページ数の合計は4,416ページ。1ページの厚さを0.1mmとすると、その高さは44.16cmになります。これは新生児の身長とほぼ同じです。こなしていくケースの量とページ数、多いと感じるか、少ないと感じるかはあなた次第です(笑)

◎終わりに
 基礎科目は本当に大変!でも学びは多い!これを強調して今月のチュートリアル通信を終わります。

<参考WEBサイト>
慶應型ケースメソッド(最終閲覧日:2020年7月4日)
http://www.kbs.keio.ac.jp/about/casemethod.html