MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信12月号 単位交換留学の経験と国内・海外MBA比較

2020年度MBAチュートリアル

河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!


◎はじめに
12月のチュートリアル通信は少し趣向を変えて、単位交換留学の経験と国内・海外MBAの比較をしていきます。グローバル化、ボーダレス化する世界を鑑みると、自国だけでビジネスが完結する世界は終わりを迎えています。営業、工場、調達、広報、法務、人事、IT等、収益部門、管理部門問わず、すべての部署で日本以外の企業または日本人以外の人を相手にすることも少なくないです。そのような状況を鑑み、日本のMBAも積極的に海外のMBAと提携を結び、単位交換留学の機会を設けたり、海外のMBAと合同で授業やプロジェクトを進めています。
私も単位交換留学のチャンスを得たうちの1人です。KBSの学内選考を突破し、フランスのパリ郊外にあるESSEC Business Schoolへ留学するチャンスを得ました。なお、本来であれば、パリに飛んで授業を受けるはずでしたが、COVID-19の影響で渡仏は叶いませんでした。したがって、オンライン留学体験記となる旨ご了承ください。

◎ESSEC Business Schoolとは?

ESSEC business schoolは、1907年にイエズス会により設置された、フランスパリ近郊セルジーおよびパリ至近のラ・デファンス、東南アジアのシンガポール、北アフリカのラバトにキャンパスを置くビジネススクールです。ました。ESSECとは「École supérieure des sciences économiques et commerciales」の略で、日本語では「エセック経済商科大学院大学」と呼ばれています。
修士課程のMSc in ManagementプログラムはFT誌Master in Managementランキングで世界第3位となっています。また正規のMBAを授与できる学校であり、AACSB及び欧州品質改善システム(EQUIS)に認定され、Global MBAプログラムはQSの2017年ヨーロッパMBAランキングで第7位でした。2004年にドイツの名門ビジネススクール、マンハイムビジネススクールとエグゼクティブMBAプログラムを創設して以来、ESSECはエグゼクティブ教育においても、ヨーロッパのトップクラスの1校として高く評価されています。(FT誌ビジネススクール・ランキングではヨーロッパTOP10)

◎履修した授業

 今回、私はESSECで4つの授業を履修しました。「Strategy and Management」「B2B Marketing」「Managing IT in the Digital Age」「Global Strategy and Luxury Business」です。いずれも全部で10回のコースです。ここではGlobal Strategy and Luxury Businessの様子を少しだけお伝えしましょう。
 ESSECは高級ブランドに関する研究で有名な学校でもあります。よって、今までの人生で縁のなかったLVMH等の高級ブランドの世界を見てみたいという思いからこの授業を履修しました。この授業は競争戦略論を高級ブランド企業の観点から学んでいく授業で、KBSで戦略論のゼミに所属する私にもピッタリです。例えば、高級ブランド企業の成り立ち、各企業が取る戦略の違いを学びます。また、有名ブランド企業の役員クラスの講演もあり、非常に学びが多いです。皆さん気になる課題の量ですが、さすが名物授業と言わんばかりに量が多いです(笑)
まず、毎回の授業で高級ブランド企業に関するケースディスカッションをします。ケースディスカッション自体はKBSでも行うので変わりはないです。ところが、それに加えて、教員が提示した設問に対する回答をグループでパワーポイントにまとめて毎回の授業前に提出する必要があります。オンラインかつ時差があるので、打合せは大変でした。グループチャットやZOOMを活用して打合せをし、誰が何をいつまでに担当するのかをしっかり決めました。ニューノーマル時代の新しいコミュニケーション方法をいち早く身につけることができたように思えます。
最終レポートも大変です。なんと英語で5,000~6,000字の量を書くことが求められます。私が学部時代に書いた卒業論文は英語で4,000字書くことが求められていました。それを上回る量を1ヶ月以内に書いて提出ということですから、いかに負荷が大きいかお分かりいただけるでしょう。一夜漬けで仕上げるのは不可能で、毎日少しずつ書いていくことが必要です。なんとか書き上げましたが、この授業1つとっても海外MBAの勉強量は非常に多いと言えます。海外MBAの洗礼をしっかり受けました(笑)

◎国内・海外MBAの違い
 さて、ここで国内MBAと海外MBAの違いを見ていきましょう。学生は世界中から集まってくる、使用言語は英語という違いはありますが、学びの内容や授業の進め方に違いはないという印象を抱いています。例えば、学びの内容について説明しましょう。私が履修した科目のうち、2科目は戦略論が関わる授業でした。KALSで学ぶ皆さんにとってお馴染みのアンゾフのマトリックス、ポーターのファイブフォースやバリューチェーン、BCGマトリックス、I-Rグリッド等をESSECでも学びます。もちろん、フレームワークを学んで終わりではなく、それらを使って企業の戦略分析をしていきます。
 授業の進め方も同じな印象です。KBSもESSECもケースメソッドを採用しています。つまり、事前にケースが学生に渡され、学生は授業前にそれを読み込み、授業でのディスカッションに臨みます。学生は授業中に積極的に発言することが求められます。このように、国内と海外のMBAに大きな違いはないと言えるでしょう。

◎国内と海外MBAのどちらに進学したら良いの?
 学びの内容と授業の進め方に大きな違いがないのであれば、国内と海外のどちらのMBAに進学すれば良いのでしょうか。これはMBAに何を求めるかによって異なると思います。学習効果を高めたいというのであれば、日本語でしっかり学べる国内MBAが良いでしょう。また、費用を抑えたい場合も日本のMBAを選択するのが良いです。一方で、グローバル企業の本社に勤めたい、語学力(英語力)も高めたい、異文化を知りたいというのであれば、海外MBAを選択するのが良いと思います。いずれにせよ、MBAに何を期待するかをしっかり考えた上で進む道を決める方が良いと考えます。

◎終わりに
 いかがでしょうか?ほんの少しでも海外MBAの雰囲気が伝われば幸いに思います。忘れてはならないのは、MBAはあくまで勉強するところです。国内だろうと海外だろうと、課題の量の多さに絶句する場面は多くあります。それを仲間とともに乗り越えることができれば、一回りも二回りも成長できる自分に出会えると思います。