MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信5月号 志望校の選び方と入試の概要

2021年度MBAチュートリアル通信

河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!


◎自己紹介
河合塾KALS国内MBAチューター兼講師の金井絵理(かないえり)と申します。
私は2015年にKALSで学び、2016年4月に早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS)に合格しました。
2019年からチューターとして活動しており、延べ1000回以上受講生の方とカウンセリングをしています。分からないことや困ったことがあれば、遠慮なく質問してくださいね。
私のMBA前後のキャリアについて紹介します。共感できるところや、もう少し詳しく聞きたい、という方がいらっしゃれば、是非カウンセリングをご予約ください。
MBAを目指したきっかけは、求人広告の営業として10年ほど働き、その後人事にキャリアチェンジしたことでした。人事は従業員の昇格昇給のルールや育児や介護で休めるように休暇制度を定めるなど、その人の生活に関わる重要な仕事です。一方で、会社には利益を上げる目的があります。従業員にお金の面で優しすぎると目先の利益が減りますし、従業員を大切にしないと長期的に利益どころか会社の存続も危うくなります。このように会社として考え、人事施策を打とうとしたとき「私は何も知らない」ことに気が付き、焦りました。そして、経営について体系的に学びたい、さらに人材と組織について深めたいと思い、私の求めているカリキュラムが揃っているWBSを目指しました。
WBSで2年間学んだ後、転職し別の業態の会社で人事を経験しました。
東証一部上場企業2社で人事経験を積み、その後独立して労務問題の解消のための法人を立ち上げ、今に至ります。
振り返ってWBSを卒業して一番よかったことは、良い仲間に恵まれたことです。私が自社でプレゼンをするため準備に苦戦していたときに日曜日までプレゼンの準備に付き合ってくれた友人、新しい事業を作るために具体的なアドバイスをくれたり叱ってくれた先輩、独立後に応援のため発注してくれた友人。WBSの仲間にとても助けられて、今日があります。
今後のチュートリアル通信では、私自身の経験も踏まえて、受験のポイントやビジネススクールでの過ごし方などを書いていきます。

◎志望校の選び方
KALSに入校した方の志望校で多いのはWBS(夜間主)・一橋(経営管理)です。
受講生のほとんど会社員の方なので、仕事を続けながら通えるところを希望することが多いためです。
あとは「ブランド」(これが本音という方がほとんど)。なんとなく早稲田とか一橋がカッコいいからという理由です。
はっきり申し上げて「カッコいい」「なんとなく」で志望校を選ぶと失敗します。「こういう勉強の仕方だと思っていなかった」「一緒に学ぶ仲間と合わない」など、いろいろな「あ~違った」に遭遇する可能性が高まります。
大学には偏差値があります。予備校が行う全国一斉模試などから偏差値が出されます。ビジネススクールには全国一斉模試はありません。そのため、ビジネススクール(以下、BS)には偏差値がないので、上も下もないのです。もちろん、最近できたばかりで教授陣が十分に揃っていないBSもありますが、少なくともKALSで合格の支援をしている、お薦めしているBSに関しては十分に学べない、物足りないということはありません。
また、多くの方が気にされる費用面。これは私大と国公立で大きく異なります。
例えば、一橋大学経営管理プログラムでは入学金と学費を合わせて156万円程度(2020年度入試情報より)です。
WBS夜間主プロフェッショナル・総合では入学金と学費などを合わせて336万円程度(2020年度入試情報より)です。
これほど差があると、費用で選びそうになってしまいますね。ただ、自分がMBAを目指したきっかけが何であったか思い出してください。何かに困って、それを解消したいと思ったからではないでしょうか。
各校の教授陣やカリキュラムをしっかり調べて、自分の求めているものが揃っているBSを選んでください。
国公立は、アカデミック、研究を重視、私立は実践的であると言われています。ただ、ビジネスを学ぶ学校である以上は大きく変わることはありません。自分の学び方によって国公立で学びながら実務に活かす、私立で実務家の教授陣や友人とディスカッションを繰り返して、論文を書くこともできます。

◎入試概要
ビジネススクール(以下、BS)の入試は、学部入試のように、教科の知識を求められることはありません。多くのBSで実施されるのは、書類審査、筆記試験、面接です。学校によっては筆記試験がない場合もありますが、基本的にはこれら3つの試験が課されます。
書類審査:研究計画書、エッセイ、志望理由書など様々な呼び方がありますが、学校が事前に用意した形式の書類に回答し、その内容が審査されます。質問の内容や聞き方は学校によって異なりますが、「志望動機」「研究内容」「修了後のキャリアプラン」の3つはどの学校でも求められます。
筆記試験:小論文のことです。90分から120分で設問に対する自身の考えを書きます。小論文の出題内容は学校によって異なります。国公立は経営学の知識を問う問題が出題される傾向がありますが、私立の場合は経営学の知識を問われることはありません。その代わり、どんな問題が出題されるか分からないという特徴があります。そのため、どんな問題が来ても回答できるよう訓練しておく必要があります。国公立、私立問わず、小論文対策は非常に重要です。しっかり対策をして試験当日を迎えてください。
面接:面接官2・3名に対して、受験生1名という形式が多いようです。2020年度試験では、オンラインで面接を行ったBSも少なくありませんでした。書類に記載した志望動機、研究内容、修了後のキャリアプランについて深堀した質問が投げかける他、担当業務、所属企業、業界についても訊かれる場合が多いです。筆記試験同様、面接も複数回練習した上で試験当日を迎えましょう。

◎チューターへのありがちな質問とその回答
4月・5月は受験を何としても突破する!という強い意志の方がカウンセリングにお越しになります。この時期は「会社を辞めて受験勉強に専念したほうが良いですか」という質問を多くいただきます。
答えは「NO」です。どうしても今後のキャリアのために学びたい分野があり、それがフルタイムのビジネススクール(以下、BS)にしかない、という場合はそのBSで2年間しっかりと学ぶ。それ以外の場合、退職はお勧めしません。BSはビジネスについて学ぶ場です。座学で先生の講義をただ聞くというよりも、グループディスカッションをしたり、数人で1つの課題に取り組んだりと周囲と協力しながら進めていきます。お互いのビジネスの経験の共有や学んだことを実務で試してみてどうだったかというフィードバックをしながら学びを深めていきます。仕事から離れてしまうと十分な議論が出来なくなる可能性もあります。
仕事と勉強を同時にするからこそ得られることがあります。もちろん大変なことではありますが、仕事をしながら、受験勉強の時間を確保し、合格も勝ち取りましょう。

◎終わりに
次回は、筆記試験対策と勉強スケジュールの組み方についてです。お楽しみに!