MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信6月号 筆記試験対策と勉強スケジュールの組み方

2021年度MBAチュートリアル通信

河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!


◎筆記試験対策は必要?
ビジネススクール(以下、BS)では、研究計画書、筆記試験、面接試験の3つの方法で、合否を決めます。
BSにおける筆記試験、難しそうと感じますよね。
易しくはありませんが、専門的な知識がなければ歯が立たないような筆記試験を課す学校はほとんどありません。
2020年、WBS(早稲田大学大学院経営管理研究科)の秋入試の問題は中国古典の兵法書である「孫子」から出題されています。戦争を、競争と読み、現代ビジネスに当てはめて回答するというものです。(この問題は長文を読み解答するパターンです。興味がある方やWBS志望の方は、是非WBSのHPにて実際の過去問をご覧ください)。

この問題は、孫子をしっかり読んだことがある人が有利になるわけではありません。
解答が事実として正解かどうかは問いません。考え方、解答へのプロセスが妥当であり、聞かれていることすべてに答えていることが大事なのです。

「それならできそう!」と思いませんか?これは、トレーニングを正しくすれば、多くの人はできるようになります。
ですが、「なんだ、簡単じゃないか」とトレーニングを怠ると悲しい結果になります。
小論文で躓くポイントはいくつかあります。代表的なものは下記です。


・解答は手で書くので、漢字が分からない。文字が汚くて読めない。
・時間が足りない。
・いきなり解答を書き始めて、半分くらいで論点が間違っていることに気が付き消しゴムで全部消して
 解答用紙がぐちゃぐちゃになる。
・問題文を自分なりに解釈して、結果問題に答えていない。要点がずれた解答を書いている。
・問題で聞いていることを答えきれていない(「●●について、複数の案を出し、その中から1つを選んでその案が最も優れている理由を答えよ」→複数の案が出ていない、最も優れている理由を答えていないなど、問われていることの何かが欠けている)
など
大人になってから、文章を手で書く、制限時間内に書くという訓練をしている人は稀だと思います。
高校生のころの現代文が苦手だった方は、しっかりとトレーニングを積みましょう。

また、筆記試験がない学校もあります。筆記試験がない学校を受験するからと言って、筆記試験対策をやらなくて良いというものではありません。

ほとんどの学校で「研究計画書」の提出が求められています。
研究計画書は面接のベースになるとても重要な書類です。この文章が、辻褄が合っていなかったり、最初と最後で言っていることが違っていたり、複数論点を示した時にそれぞれの大きさ(階層)がバラバラであったりすると、論理的に物事を考えられないと見られます。

筆記試験対策は、論理的思考を鍛える上でとても効果的な方法です。なにより、合格してBSの仲間と議論をし、レポートを書くときに論理的思考が求められます。これがないまま入学すると、後で自分が苦しくなります。
BSを受験する方は、筆記試験対策をすることを強くおすすめします。

※2020年は、コロナウイルスの影響で集合させ試験を実施することが適切でないと判断し、筆記試験を行わなかったBSがありました。
2021年は未定となっている所も多くあります。志望校のHPをしっかり確認しましょう。
※筆記試験が上記理由で行われなかったBSでは、別途課題を追加したり、面接試験が厳しく行われたりするなど対応されています。筆記試験がないからといって、難易度が下がるわけではありません。

◎勉強スケジュールの組み方
「仕事が忙しく、週に1回の予備校が限界です」という声を聞きます。
例えば、ある月が1年で1番の繁忙期であればそれも仕方ないかもしれません。
ただし、これが常態化しているのであれば、改めましょう。これでは、BSに入学しても、そもそも通えません。なぜなら、予備校で受験勉強している今よりも入学後は3~4倍勉強時間が増えるからです。

私が受験生であったころは、9時から18時で働いていました。残業はほぼありませんでしたが、出張は毎月あり、出張の前後は事務処理で忙しい状態でした、サービス業であったので、夜の21時以降に対応で外出することもありました。
激務ではないけれど、普通に働く会社員でした。
また、受験年の初夏、手術をすることになり、大きく時間をロスすることがわかっていました。
そのため、それも見込んで計画を立てました。
・18時キッカリに退社、家の最寄のマックで18:30~22:30まで勉強時間とする
・体調がきつければ、途中で自宅にもどり、少し休んでノルマの4時間が終わったら寝るか、
早起きして昨晩分の消化をする
・1日4時間クリアできなければ土日に上乗せ
・出張時に時間がなければ、過去自分が解答した答案の赤ペンを見て、なぜ自分は間違えたのか分析
する/予備校テキストの太字を頭の中で説明する など簡単なトレーニングをする
私はKALS同期の中でも、やりすぎという程、勉強時間はとっていました。手術でロスした時間分を取り戻す必要があったのと、人気校であったWBSを志望していたので、合格ボーダーを狙っていてはだめだ、合格確実ラインを目指さないとという気持ちでした。

皆さんにお勧めしたいスケジュールは「毎日やること」です
勉強の習慣がついていないのであれば、習慣をつけるためにもやってください。
1日休んだら、3日休みます。3日休んだら1週間に1回の予備校に通うのが精いっぱいになります。
そうすると、予備校の授業が終わったら、何もしなくなります。

毎日、勉強してください。週にできれば3問解く。新しい課題でなくとも、軽い課題でも、復習でももちろん良いです。講義後に渡されるチェックリストを完璧にすることも忘れずに。やることはたくさんあります。

次に、「いつ」やるかです。勉強は習慣です。今日は朝やろう、今日は昼休みにやろう、今日は夜やろうと都合に合わせていては、結局夜にしわ寄せがきて、夜飲み会があれば、そのまま寝てしまうのがオチです。
やる時間を決めて、あらかじめできないことがわかっているなら、振替先(前日に多めに時間をとるなど)を決めておくことです。

今6月であれば、試験まであと4か月。たった4か月です。この期間だけ自分に厳しく勉強に集中してみませんか。

◎チューターへのありがちな質問とその回答
社会人で大学院を受験することは、不安な気持ちになりますよね。
この時期は、そんな不安からくる質問を受けることが多いです。
「転職が多いのですが、受かりますか」
「私は大手企業ではないのですが受かりますか」
「この年齢で受かりますか」
など、こんな私でも受かりますかという質問がとても多いです!

BS合格者や卒業生が「●●な人は受からない」「〇〇な人は受かりやすい」と書いているブログを読み不安になっていることがほとんどです。
これらに根拠はありません、個人の感想です。分析したわけでもありません。
30代で5社目の方、規模の小さい会社の経営者の方、50代の方、最近派遣社員から正規社員に転換した方など毎年たくさんの方が合格しています。
●●だから受からなかった、というのは、多くの場合、能力とは関係がないところに理由づけをすると楽になるからです。もしくは、特殊事情です。同じカテゴリの人(例えば40代男性ばかり、製造業ばかり、営業職ばかり)が集まりすぎて、バランスを考えないと多様性の中で学べない、などが起きたときは調整が加わる可能性はあります。

受かるためには、論理的思考がなにより重要です。
転職が多い理由、50代でBSを志す理由など、理由が明確であり、その手段としてBSで経営を学ぶ必要があると論理的に説明することができれば問題ありません。

自分で最初から無理ではないか、と思わないことです。
一緒に頑張りましょう。

◎終わりに
次回は、研究計画書の書き方についてです。お楽しみに!