MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信9月号 WBSについて

2021年度MBAチュートリアル通信

河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!



◎早稲田大学経営管理研究科(WBS)について
今回は、チューター金井の母校、WBSについて書きます。
下記は、WBSに入学されたら、是非在学中に行っていただきたいことをまとめました。
入学後のイメージをつけて乗り切りましょう!

1.ネットワークを築く
WBSはビジネススクール(BS)の中でも歴史が古く、1学年の人数がかなり多い(チューターが入学した2016年は4月・9月入学者合わせて300人越え)です。

2年間在学していれば、先輩と後輩、同期合わせて900人と知り合うことも可能です。

WBSは、先輩・後輩と繋がりやすい環境です。
多くのBSでは連絡手段としてFacebookが使われており、そこで芋づる式に友達ができます
(今は独自のシステムを使っている先生もいるようですが、多くの学生はFacebookを通じてネットワークを広げています)。

私は「夜間主プロフェッショナルコース」で受験をし、人材組織のゼミで学びました。
昼は会社員・夜は学生として過ごしました。ベースは会社員なので、会社を終えて急いで校舎に向かい教室で席に座った途端に講義が始まり、トイレ休憩を経て深夜まで勉強して帰る…これでは十分な交流ができません。
そのため、課外活動?として飲み会に出ないとネットワークが築けないことに気が付きました。
もともと飲み会が嫌いなので、心身の負担にならないよう、自分が一緒に居て楽な人がいれば少し顔を出すというスタンスで2年間過ごしました。

WBSに限らず、BSにはここでしか出会えない人達がいます。出来るだけ交流をしておくと良いです。
卒業して3年ほど経った今、BSで出会った友人たちに仕事でも、人生においても助けられています。

2.貢献する
BSでは、受け身ではなく自分で動いて学びを進めていきます。
WBSでは多くの場合、少人数のグループを作り(大体5人くらい)課題に取り組みます。
レポートを仕上げたり、プレゼンをしたり様々なアウトプットが求められます。

稀にですがフリーライダーがいます。全く貢献しない、もしくは貢献度が低い人のことです。
当たり前ですが、BSは狭い世界なので「Aさんは何もしない」など噂が広まります。グループを任意で作るとき、Aさんは敬遠されるようになります。
これとは逆に、貢献度が高い人もいます。そうすると、皆から一緒に組もうと声をかけられますし、評判が良くなっていきます。

特別なスキルはいりません。自分の強みを試せば良いのです。
私は2つのことを心掛けていました。
1つめは、講義で題材になった会社のサービスを、すぐに試したり、その会社にアポを取って訪問・見学をしました。そして同じ講義を受講している仲間にフィードバックしていました。
フットワーク軽く、実際の体験談をすぐに伝えてくれる人、として認知頂いたと思います。
2つめは、課題がレポートの時です。レポートを複数人で仕上げることは面倒なので、なかなか「やろう」と口火を切る人がいません。なるべく自分から役割分担を提案したり、自分のパートをラフであっても一番先に仕上げてレポートの方向性を定めることをしていました。レポートの質を高めるスキルは無かったので、チームが早く方向性を定めることに注力しました。

自分の評価を下げないためにも、できる限り貢献することです。

3.転職には気をつける
これは私の主観ですが、在学中の転職はやめた方が良い。
うまく行く人もいますが、多くの人は転職した会社を短期間で辞めています。

多くの学生は今の自分の状況に課題を感じていたり、不満があります。そんな状況下でキラキラ働いている(ように見える)同期を見ていたらその会社に転職をしたくもなります。
ですが、考えてみましょう。

まず、在学中は学生です。BSのカリキュラムを修了していない人です。
卒業している人の方が、通常は市場価値があります。

また、目の前にいるキラキラして見える人は、その会社のたった一人のサンプルです。そして、BSに通い会社と学問を両立しているため、会社でも一目置かれている人である可能性が高いのです。
冷静になれば、その会社の社員がそんな人ばかりではないことは分かるはずです。自分が所属している会社と同じように理不尽な上司も、成果を出さない同僚もいます。
転職して状況が変わるどころか、悪化することは十分にあります。
卒業して、冷静になってからの転職をお勧めします。

4.印象に残った講義
せっかく入学したのなら、BSでなければできない経験をしましょう!
私がWBSで最も印象に残った講義は、長谷川博和教授のアントレプレナーシップとスタートアップファクトリーの2つの講義です。この2つはセットで受ける人が多いため、合わせて「最も印象に残った」としました。

このチュートリアル通信を読んでいる皆さんは、2022年4月入学を目指している方々のため、当時とカリキュラム内容やアプローチは異なってるかもしれませんが将来企業を視野に入れている・新規事業を任されている方にはお勧めです。

長谷川先生のお話は、とにかく時代を先取りしています。数か月経ってからとネットなどで最先端のテーマとして取り上げられるようなものばかりです。先生がベンチャーキャピタルの会長ということもあると思いますが、学生が頭をひねってどんなに新しいと思われるアイディアを出しても「それはよくあるやつだね」と返されてしまいます。そして、なぜうまく行かないのかなども解説してくださいます。どんな球を投げても返ってくる、どんな小さな球・速い球も見えているような先生です。

2018年には「スタートアップファクトリー」を受講し、ニューヨークとボストンへスタディツアーに行きました。ニューヨークでは企業見学、その後ボストンで大学の見学と言う流れです。
私は業務都合でボストンのみの参加でした。

ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学を見学しました。そして、日本の上場企業の社長も多数卒業しているバブソン大学で、教授たちに英語でプレゼンするという機会にも恵まれました。
BSに在籍していなければ、絶対に経験が出来ないものでした。

WBSにはアメリカ、フランス、シンガポールなど様々な国で学ぶ機会が多くあります。コロナ禍で2020年・2021年は実際に足を運ぶことができないことはあったと思いますが、オンラインであっても海外との交流の機会は掴んで頂きたいと思います。

◎チューターへのありがちな質問とその回答

「研究計画書が間に合わなさそう」
研究計画書の締め切りが迫ってくると「間に合いますかね?」と不安そうに聞いてくる方、または「来年も受ければいいので」と仰る方がいます。

まず、提出まで1箇月ほどあるなら出しましょう。もっと期限が短かったとしても挑戦しましょう。

会社で「この書類1か月で仕上げて。A4で5枚くらいだから」と言われ、「えっ?そんな短期間で、そんなにたくさん無理です!!」って言わないですよね…。
しかも書類の内容は、自分や会社のこと。先行研究にしても、既にわかっていることです、未知のことを調べてまとめろとは言っていないのです。
また、せっかくコンペに参加できるのに「今回は勝てなさそうなんで、来年を本番にします」とは言わないですよね。

なぜか、会社では絶対に言わないようなことを受験では言う方は少なくないのです。
受験のきっかけは「会社のこういう状況を変えてやる」「転職してこの分野で成功してやる」「家業を立派に継ぐんだ」などの志だったはずです。それを思い出して、研究計画書くらい書いてやる、とやり切って欲しいと思っています。

◎終わりに
次回は、執筆者が代わります。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)についてです。お楽しみに!