MBAチュートリアル通信

チュートリアル通信11月号 HUBについて

2021年度MBAチュートリアル通信

河合塾KALSの大学院入試対策講座では、チューター制度を導入しています。授業での合格指導のみならず、受講生向け学習ガイダンス「サクセスチュートリアル」や個別相談(カウンセリング)などを通じて、進路・志望先に関すること、自主学習に関することなど、合格に向けてきめ細かくアドバイスをしています。以下は、MBAチューターから皆さんへのメッセージです。今後の受験対策のご参考にしてください!


◎一橋大学経営管理研究科(HUB)について
今回はチューター溝渕より、母校であるHUBについてご紹介します。つきましては、HUBの魅力を下記にまとめております。入学後のイメージをつけ、モチベーションを維持して頑張りましょう!

1.少人数ならではの教授陣の手厚いフィードバック
 私がHUBに入学してまず驚いたのは、先生方のフィードバックが手厚いということです。レポートへの添削が緻密なのは勿論のこと、私が質問のメールを送ると、お忙しいにもかかわらず、数時間後にはリッチな内容の返答をくださいました。常に「どうしたらより良い講義になるか」「どうしたら学生の教育効果がより高まるか」を突き詰めて考えていらっしゃる先生ばかりで、本当に頼もしいです。一人ひとりへの教育の手厚さは、少人数制のひとつのメリットだと思いますし、そのおかげで経営学を初めて学ぶ方でもしっかりと講義についていくことができます。

2.HUBにしかない授業 「古典講読」
HUBでは、MBAとしては珍しい古典講読という授業が設けられています。古典といっても、大学受験のような古文や漢文といった大昔に書かれた本ではなく、近代において組織論や経済学について書かれた本のことなのでご安心ください。古典講読では、毎週決められた章について予習をして、要旨と小論文をワードにまとめて提出します。また、グループに分かれて合計二回ほど自分たちの担当の章に関してみんなの前で発表をします。
皆さんは経営にまつわる知見を広げるためにMBAを受験される方がほとんどでしょうから、中にはあまり古典講読という授業に興味がわかない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、HUBは古典講読の授業を非常に大事にしており、必須科目の中で唯一クラス分けをして敢えて少人数で行うほどに力をいれています。なぜそこまで力を入れているかというと、古典講読では全ての教科において必要な「書き手の文章の構造を読み解き、一番伝えたいことを読み解いた上で自分の理解に落とし込む力」を養うことができるからです。文章の構造や趣旨を読み解く力は、自分が文章を書く際にもどのように書けば読み手に伝わるか考える力にもなります。受験生の皆さんは今までにもたくさんの文章を読み書きされてこられたと思います。しかし、一冊の本とじっくり向き合い、自分の文章の捉えた方やまとめ方をしっかりと見つめ直す機会というのは、意外にも少なかったのではないでしょうか。そういう意味で、古典講読という授業は改めて「文章」と向き合う非常に貴重な機会なのです。
古典講読を受けていて私が面白いと思ったのは、良い文章のまとめ方が回を重ねるごとに変わっていくことです。提出した要旨や小論文について、毎回の講義で優秀者が選ばれるのですが、前回優秀賞を取ったまとめ方を模倣しても次に優秀賞を取れるとは限らず、どんどん良いまとめ方をする人が増えていきます。全体のレベル感が上がっていくので、「良い要旨」は目まぐるしく変わっていきます。少人数の中で競い合いながら取り組んでいるからこそ、周りの方と良い文章とは何かを突き詰めていけるのだと思います。
このように、クラスの方々が力を入れているからこそ古典講読は良い授業になりうるので、入学後みなさんも是非力を入れて取り組んでみてください。

3.個人的に好きな授業「戦略分析」と「ワークショップ」
 MBAといえば、ケーススタディが花形ですよね。ケーススタディというと、ケースメソッドを掲げているKBS(慶応ビジネススクール)を想起する方もいらっしゃると思いますが、HUBにもケーススタディのみに特化した講義があります。藤原雅俊先生の「戦略分析」という講義では、毎週1〜3冊の本を読んでレポート提出とケースディスカッションを行いました。毎週数百ページの書籍を読むわけですから当然負荷は重いです。私は、この科目は筋トレのようなものだと感じました。最初はその負荷の重さに脳が筋肉痛になりましたが、取り組み続けるうちに経営分析の手法が身に付いてきて負担を感じなくなりました。また、経営の成功失敗の要因を考察する際に、ただ要因を列挙していくのではなく、それらの要因がどのようなメカニズムで循環しているのかを考えるように、思考の癖を切り変える訓練を積むこともできました。
また、授業という感じではありませんが、二年生から現在取り組んでいるワークショップが私は好きです。ワークショップは自分が一年時に学んだことを活かしながら、1年間かけて論文のようなレポートを作成する授業です。普段は持ち回りで発表し、先生や同期からフィードバックをいただきます。ワークショップは自分の発想や興味を形にしていくアウトプット型の授業なので、自分の発表の週にどんなフィードバックをいただけるのか楽しみにしています(もちろん進捗がない月の発表はちゃんと苦しんでいます笑)。ちなみに、出願に際し研究テーマを書いて提出されるかと思いますが、それとは全く異なる研究をしても問題ありませんし、実際、半分ほどの学生は入試の時点で将来計画書に書いていたテーマとは異なるテーマの研究をしています。

4.コミュニティでの横のつながりと縦のつながり
HUBは経営分析プログラムと経営管理プログラムをあわせても一学年100名に満たない少人数のコミュニティなので、同じクラスの人同士でのつながりは強いですし、授業でグループワークを行えばすぐに他の方とも仲良くなれます。コミュニティとしては、全員と話せる機会を作りやすい丁度いい人数だと個人的には思います。私は国立校舎で授業を受けていますが、国立だと授業の時間外にランチに行ったり、飲みに行ったりと交流が盛んなので(一年生のときはコロナでそういった機会は少なかったですが)、空き時間に他の方との交流を広げるチャンスはいくらでもあります!
HUBは企業派遣の方や自費の社会人、新卒の学生など様々な属性の方々でバランス良く構成されています。自分とは違う属性の方のお話を聞けるのは貴重ですし、卒業後にも交流は続くので、仲良くなっておくと学校生活はより楽しくなると思います。また、OBの方々が様々な場所で活躍されており、アクセスしようと思えばすぐできるのもHUBの良いところです。年に一度OBの方々と現役生の方々が集まる懇親会などもあり、そこにはたくさんのOBの方々がいらっしゃいます。経営されている方はもちろん、自分が将来就きたい職種をされている方もまず間違いなくいらっしゃるので、入学後は是非参加してみてください。

5.グループワーク
HUBでは、グループワークも盛んに行われます。発表の機会は多いですし、グループワーク中は年齢関係なく関係性はフラットなので、自分の意見を求められる環境になります(とはいっても、やはり社会人経験豊富な方がチームをリードされるケースも多いです)。グループワークでは、自分の強みは何で、リーダーシップをどう発揮できるかを試す場所にもなるので、是非力を入れて取り組んでください。グループワークを全力で取り組んだチームの方とはその後の関係も非常に良くなりますし、研究の際にも助けていただいたり、その方々と授業外で過ごす時間も長くなるので、一挙両得です!逆に、グループワークにあまりコミットしなかった方は自然と他の方との距離がその後遠くなっていってしまうように見受けられるケースもあります(もちろん他の人が意図的に距離をおいているわけではありませんが)。私の場合は、自分より社会人経験が豊富な方々がグループワークでどのようにチームをまとめているのか、そのマネジメントを観察したりもしていて、自分にも真似できそうなやり方や尊敬できる人も見つかり、非常に勉強になりました。
グループワークに自信がある方は、是非JBCCにも取り組んでみてください。JBCCとはビジネススクールケースコンペティションの略で、日本中のビジネススクールの学生がチームを組んで、お題となる架空の企業に戦略を立案し、その巧拙を競い合う大会です。なんと2020年はHUBから優勝チームが出ています!HUBのグループワークは学外でも通用するほどレベルの高いものということなので非常に勉強になりますね。
 
◎最後に
今回紹介したこと以外にも、HUBでは必須科目を含め面白い授業や、発言が求められバチバチ意見を交わす緊張する授業、はたまた課外での学生生活など、入学後に有意義な時間をたくさん過ごすことができます。今は受験で目の前のことに精一杯かもしれませんが、無事入学したあとには必ずご自身の人生にとってプラスになる体験が待っているので、辛い受験生活をなんとか乗り越えて合格を果たしましょう!