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【2016春VER.】チュートリアル通信第1回 合格者からのご挨拶・合格へむけた計画など

チュートリアル通信
「税法」科目免除大学院チュートリアル通信。「税法」科目免除大学院 試験合格者が試験対策や試験情報などを皆様に教えるコンテンツ。
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、試験対策や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、税法関連の小ネタなど、
皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
河合塾KALS 税理士「税法」科目免除大学院 講座

第1回 チューターからのご挨拶・合格に向けて




これから、皆様の大学院入学までの期間、チューターをさせていただく大木と申します。
皆様がKalsに来られるきっかけはどのようなものだったでしょうか。私は、当時、3度目の法人税の試験の出来の悪さに出口のないような不安を感じていました。大学院の税法免除については耳にしていたものの、何ら情報はありません。必死にネットを検索して、藁にもすがる思いでKalsの「大学院入試フェア」を訪れ、Kalsの合格実績などを黒須先生から聞くうちに「これで何とかなるかも」と急に安心したのを覚えています。

その後も、入学までいくつかの不安を経験することになりますが、その都度、黒須先生や当時のチューターの方にお世話になりました。今回、当時の不安を振り返りながら、皆様の安心につながるような情報を、思いつくまま、お伝えしようと思います。

また、皆様の相談もお待ちしておりますので、勉強の進め方、大学院生活のこと等、お気軽に、ご相談にもいらっしゃって下さい。

合格の秘訣~カリキュラムを信じる

合格の秘訣は、ただ、KALSのカリキュラムを信じて勉強することだけだといい切ってよいと思っています。受講されている方の中には、お仕事、さらに、税理士の受験勉強などとの掛け持ちの方もあると思います。そういった状況でも対応できるように、カリキュラムが組まれています。時間的に余裕のない方は、KALSのカリキュラムを信じて、毎週土曜日だけKALSの講義の受講とその復習の時間に充ててください。

では、これから受講される「租税法」講義のポイントを見てみましょう。


(1) 租税法の基礎知識の取得
(2) 代表的な判例を通して、問題意識の持ち方と法解釈の基本を学ぶ
(3) 研究計画書のベースとなる判例を選択する

(1) 租税法の基礎知識の取得

税法の勉強が初めての方は、まず、分厚い、金子宏の『租税法』に驚かれたのではないでしょうか。租税法の世界では、バイブルのような存在になっており、これから、修論を書き上げるまでに何冊か購入することになります。授業でも、これを使用しますが、かなりの分量があって、講義に合わせて全部読むのは、結構骨折りです。そこで、お勧めしたいのは金子宏『租税法入門』(有斐閣、第6版、2007)です。通学の時間を利用して、2回ほど読み、詳しく知りたいところを中心に、テキストで理解を深めるという方法です。租税法の基本原則など、過去問によく出ている用語については、500字から800字程度に自分でまとめておくと小論文対策になります。
そのほかに、青山学院の三木教授の三木義一『よくわかる税法入門』(有斐閣選書、第9版、2015)も良いでしょう。

(2) 代表的な判例を通して、問題意識の持ち方と法解釈の基本を学ぶ

全20回の「税法」の講義では、入試に必要な税法上の問題意識や法律の解釈の基礎を、身に着けていただきます。新聞などでもなじみのある裁判例を黒須先生の説明で興味深く理解していただけると思います。さらに、「税法演習」では、研究計画書作成のためにそれぞれの判例をより踏み込んだ形で理解していきます。口頭試問に対する対策にも役立ちます。どの判例が、どの規定、あるいは基本原則に関係しているのかについて結びつけながら理解しましょう。

(3) 研究計画書のベースとなる判例を選択する

講義で扱った判例の中に、興味のあるものが見つかったら、それを研究計画書のテーマとします。最初に、「面白そう」と思ったもので、自分に何らかの関係があるものが見つかれば、もう、迷わず選択されるといいと思います。その後は、数度の個別指導を通じて、適切な計画書が作成できますので、安心してください。もし、テーマを選べない、どう書けばよいかわからないなどの質問があれば、講師かチューターに遠慮なくご相談ください。

スケジュール感をつかむ
研究計画書作成を中心に入試までのスケジュール例が以下のようなものです。研究テーマの選定に迷ってらっしゃる方は早めに相談してください。



注意: 一般入試生対象の学外推薦入試志望の方、大学を卒業されていない方で事前審査が必要な方は、一般のスケジュールより早めに研究計画書に取り掛かる必要があります。まずは、講師に相談してください。

論文を収集しよう
研究計画書のテーマを決めると、次に、その判例についての学者の先行研究を調査することになります。この論文作成上、必須の作業を「論文蒐集(しゅうしゅう)」「文献収集」などといいます。大学院によっては、「法文献学」として、学習することになる法律論文の作成上、重要な作業です。今回は、基本的な方法のみご紹介します。

(1)  CiNii(サイニー)を使う。
まずは、代表的な日本語論文検索サイトであるCiNii(サイニー)を使ってみましょう。

CiNii http://ci.nii.ac.jp/

例えば、「武富士事件」と入力して検索すると。45件の論文・判例評釈が結果として現れます。そして、その中から関心のある論文等を選び、掲載されている雑誌などの名前、巻号、ページなどを知ることができます。(そのほか、LEX/DBという、判例のデータベースなどで、判決ごとの判例評釈を調べることもできます。租税資料館にもありますので、ご利用ください。)

(例)
「論文名」 国外財産を贈与した場合における受贈者の「住所」の認定--武富士事件
「筆者」  品川芳宣
「掲載誌」 税研 27(2), 66-69, 2011-09
※「税研」という雑誌の第27巻2号(2011年9月号)、66から 69頁に掲載されているという意味です。

ここで、検索結果が、少なくとも10件以上は欲しいのですが。あまり出てこない場合は、選択した判例が新しすぎて、十分な先行研究が存在しないか、研究対象としてあまり価値のないものであることが考えられます。このようなテーマを選ぶと先々苦労が予想されますので、一度、ご相談ください。

(2) 図書館を使う
 CiNiiなどで検索した論文等は、図書館で探し、コピーすることになります。大学生の方は、大学図書館を中心に探すことが効率的です。それ以外の方は、主に、以下の2つの図書館の利用をお勧めします。私の場合は、コピー代が安かったのと、土日に開館していたので、ほとんど「租税資料館」を利用しました。有線インターネットの利用、延長コードの貸し出しなどもあり利用者にとても親切です。また、国公立大学は、通常、一般利用者を受け入れていますので、お近くにある場合は、そちらも積極的にご利用ください。

● 公益財団法人 租税資料館

所在地 「方南町駅」(東京メトロ丸ノ内線)
     東京都中野区南台3-45-13
開館時間 9時30分~17時(祝日休館)
資料コピー可。10円/枚

● 公益財団法人 日本税務研究センター 租税図書室

所在地 「大崎駅」(JR山手線)
東京都品川区大崎1-11-8(日本税理士会館2階)
開館時間 平日10時~16時45分(土日祝日休館)
資料コピー可。20円/枚

(3) 論文データベースの作成
 調査した論文についてはデータベース化することをお勧めします。たくさんの論文を読んでいくと、重要な説明がどこに書いていたのかがわからなくなったり、同じ論文を重複してコピーしたりすることもあります。また、将来、参考文献リストの作成時にも役立ちます。私は、データをExcelで文献名をデータベース化し、論文自体をPDF化してパソコンに保存するようにしていたのですが、詳しくは、機会を改めてご紹介します。

最後に
秋受験の方は、途中に税理士試験を挟むこともあり、全体像を早めにつかんでいただくため、今回は、プラクティカルで、駆け足の内容となりました。聞きなれない言葉(判例評釈??)もあったと思いますが、今後、少しずつ、紹介していきます。

基本として、黒須先生のいうことを準備しておけば間違いはありません。Kalsのカリキュラムを信じて、一緒にゴールに向かいましょう。