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【2016春VER.】チュートリアル通信第3回 合格者が語る!研究計画書の構成

チュートリアル通信
「税法」科目免除大学院チュートリアル通信。「税法」科目免除大学院 試験合格者が試験対策や試験情報などを皆様に教えるコンテンツ。
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、試験対策や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、税法関連の小ネタなど、
皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
河合塾KALS 税理士「税法」科目免除大学院 講座

第3回 研究計画書の構成



研究計画書の個別指導が進んでいるようですね。まだの人は、まずは、一度、指導を受けてください。今回は、前回に引続き、研究計画書の基礎についてご説明します。
 
〇研究計画書の構成
研究計画書の、典型的な構成を見てみましょう。

(1)はじめに

① 研究動機 
なぜ、このテーマを選んだのかを説明。「志望動機(なぜ大学院?)」「志望理由(なぜこの大学院?)」を書く場合は、熱く語る。(特にMBA、経営学研究科等)

② 研究の目的成果(研究のゴールは何か)

「将来の税理士業務に貢献する。」「納税者の予測可能性を図る」等々。

(2)先行研究(判決分、判例評釈などを使ってまとめる)


① 事案の概要(簡潔に)
裁判の流れ(地裁、高裁、最高裁)、論点の整理。

② 考察検討
論点について、賛成、反対、中立などの学説を整理する。

(3)まとめ

以上の研究結果を踏まえ、自分の考え、提案、結論を述べる。(解釈が間違っている。規定を作るあるいは改正をしたほうが良いなど。)

(4)今後の学習計画

入学後どのように研究を加えようと考えているのかについて述べる。(現状で足りないものが何で、それをどのように補うのか?)


さまざまな、構成が考えられますが、このようなものが典型例だと思います。あくまでも、研究計画書ですので、最終的な結論まで完了している必要はありません。未完成のところが入学後に埋めるところだということになります。しかし、「(1)はじめに」の部分は、この論文の根幹ですので、十分考えてください。いくつか、判例批評を読むと同じような構造で文章が書かれていることがわかります。判例批評の中で、著名な先生方が、すでに先行研究の整理やその判例の問題点の指摘をしていますので、とても参考になると思います。悩んでいる方は、まずは、いくつかの判例批評を読んでみましょう。


● 見た目の美しさ

 ある教授は、「論文を見れば内容を読まなくても大体のレベルがわかります。」とおっしゃっていました。それは、見た目が、ルールに沿っていて美しいということです。特徴をあげてみると。
(1) 各段落の頭で一字落としている。(「字下げ」)
(2) 適度な行数で段落が分けられ、簡潔なタイトルが付されている。
(3) 誤字脱字がない。
(4) 文献表示の形式が統一されている。

そこで、文章の完成までのステップを作り、何度も見直してみることをお勧めします。

第1段階 「書き手」の立場で、思うままに文章を書く。
第2段階 「編集者」の立場で、すべてに批判的に読みながら、文章に赤ペンを入れる。
第3段階 「校正者」の立場で、上記の書式をチェックし修正する。

という感じです。できれば、それぞれのステップの間には、少し時間をおいてください。複数の立場を変えながら読むことで、文章がだんだんそれらしくなってきます。「自分の言いたいことが書けた」というのは、第1段階の終わりに過ぎません、出願まで、この3つの段階のチェックを繰り返し行い、研究計画書を美しい、完成度の高いものにしてください。

〇一般入試英語対策

一般入試の方は、外国語の受験が必須となります。多くの方が選択される英語対策について考えたいと思います。

● 過去問研究と専門用語

出題される問題は、ほとんどが、長文和訳です。研究科の属する経済、法律、会計などにかかわる文章が学術雑誌などから選択されることが多いようです。
過去問研究を取り寄せて、どのような傾向があるのかを確認して適切な対策を採ってください。自信のない方は、受験英語の講座も用意されていますので、そちらの受講も併せて検討してください。
長文読解の基礎技術は特に変わりません。前から、順番に読むようにして、分らない単語は無視して大意を把握するように意識してください。しかし、今までは勉強したことの無い分野もあると思いますので、テクニカルターム(専門用語)の取得が必要になります。英単語集のリンクでまとまったものがありましたので、2つ紹介します。効率よく利用してください。

① 英語好き集まれ! 
受験する研究科に合わせて、特に以下の3つの分野の単語に目を通しておくと良いと思います。
・法律・犯罪関連の単語
・政治・外交関連の単語
・金融・経済関連の単語

「会計プロフェッショナルの英単語」 

いずれも、それほど、分量は多くありません。まずは、すべてに目を通して、日本語で知っているものについてのみ暗記するようにしてください。日本語で分かっていない英単語を覚えても仕方がありません。必要だと思った場合は、必ず日本語の単語の意味も確認するようにしてください。

● 時事英語

時事的な話題が英語の問題として取り上げられることはあまりないようです。しかし、長文読解を通して、専門用語の基礎を身に着ける素材としては絶好のものといえます。

そのためには、まず、英語ではなく日本語の新聞を読む習慣をつけましょう。日本語で理解したうえで、その記事が英語ではどのように書かれているのかについて確認する習慣をつけるとよいと思います。(日本の話題)Japan Times, Japan Today,(欧米の話題)BBC, New York Times, Newsweek, (経済の話題)Financial Times, Wall Street Journalなどのホームページ上で、気になった記事を定期的にいくつか拾い読みをして、基本的な用語に慣れるようにしてください。まずは、その記事の最初から2つぐらいのパラグラフ(段落)だけ読めば結構です。

通常、その部分がまとめになっていてキーとなる単語が集まっています。将来的に、英語力を高めることをお考えなら、そのキーワードを使って、50ワード程度で文章を作る作業を合わせて行いましょう。日本人は英語のアウトプットの機会が少ないことが定着の障害になっています。習慣化することで、多様な表現を身に着けることにもつながります。

終わりに

そろそろ、志望校も絞れてきた頃だと思います。申請に必要な書類、提出期限など、間違いのないように、志望校別にメモを作って確認しておきましょう。研究計画書のテーマと志望校の決定が、まだの方は、一刻も早く決めるようにしてください。
一般入試の方は、TOEICのスコアで英語受験の免除があるところもあります。税理士試験の合格科目が3科目以上の方や50歳以上の方には、口頭試問だけでよい大学院もあります。志望校の検討の際、自分にとって有利なところがないかも検討してみてください。