【書評】(株)ジャパンEAPシステムズ代表取締役社長 松本桂樹氏

臨床心理士は、相談者の方が長きにわたり誰にも話せずにいた悩みごとを打ち明けられる相手となります。深刻な心の傷や、場合によっては生命にも関わる繊細な仕事のため、資格取得には高い水準の資質・知識・スキルが求められます。臨床心理士の資格を取得するには、あらかじめ臨床心理士を養成する指定大学院を修了しなければなりません。実際の資格試験に合格するよりも、「臨床心理士指定大学院」に合格することが一番の難関といえるでしょう。合格のためには、入試情報に基づく綿密な試験対策が必要となります。この「臨床心理士指定大学院対策鉄則10&キーワード100心理学編」は、臨床心理士指定大学院入試では最も実績のある予備校「河合塾KALS」が監修を行った参考書です。河合塾KALSが持つデータベースをもとにして、入試に頻出キーワードとなる最重要語100語が厳選されているというエビデンスは、何より信頼と安心を与えてくれます。また本書は、心理学の専門家である
著者が、勉強する受験生の心理を考え、「どのように心理学の勉強を進めれば良いのか」「多くの専門用語の中で、優先すべき知識はどれなのか」「試験で論述する際に、何を注意したら良いのか」に徹底してこだわり、作成されています。心理の専門家ならではの配慮を随所に感じ取ることができる参考書です。加えて、この著者は10年にわたり河合塾KALSで講師をされている方です。河合塾KALSによって厳選されたキーワードを、やさしく語りかけるように解説してくれています。覚えやすいようにエピソードを示し、関連するイラストや図解も上手に描写されていて、とにかく説明が分かりやすいです。練習問題の選択の仕方や、解説の書き方も、読者を飽きさせない配慮が感じられます。大学とは異なり、大学院の受験は「受験のための受験」ではなく、そのまま現場に活かせる勉強となります。私も大学院受験の際は、メインの参考書を1冊に絞り、とにかくその本だけは全部覚える勢いで勉強しました。今でもその本の知識は少しだけ頭に残っています。私が勉強した参考書は、分かりにくい本で苦労しましたが、本書は現場に出てからも十分に活用できる本だと思います。受験勉強として手に取られる場合が多いでしょうが、実務家としても何度も何度も読み返したい参考書です。