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研究計画書の作成(後編)

2024年度
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チュートリアル通信では、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください


研究計画書 基礎編

新大阪校チューター:濱中 

◆前編の振り返り

  「研究計画書の作成(前編)」(VOL.1)では、論点を絞り、その論点を論点整理表に纏めて整理できたことで、研究計画書の2.研究動機まで作成できていることかと思われます。後編では、2.研究動機作成後の3.先行研究、4.分析検討、5.今後の研究計画(まとめ等)に触れ、その後1.志望動機と6.学習計画についてお話します。


◆研究計画書の作成

 ①先行研究部分の作成
3.先行研究は、主にどういった裁判例等を研究計画書で取扱っているかを記載します。提出する大学院から指定されている文字数にもよりますが、2000文字前後であれば、
(1)事件の概要
(2)争点
(3)裁判の経緯
を記載します。

(1) 事件の概要とは、どのような事件なのかを簡潔に纏めます。
(2) 争点は、この事件ではどのような部分で争われているかを記載します。この争点につ
いて、例えば裁判上争点は2つあるにもかかわらず、皆さんが作成する研究計画書で取り扱う争点が1つの場合は、取り上げる争点側を「主な争点として検討する」と表記があった方が後に文章が繋がります。
(3)裁判の経緯とは、地裁、高裁、最高裁で争われた内容を簡潔に纏めます。

 ②分析検討部分の作成
 この部分が研究計画書の肝となります。皆さんが取り上げた論点をどの視点から分析し、検討したかを書く部分です。つまり分析検討部分に参考文献で参考にしているあるいは引用したい内容を盛り込みます。文字数も多くなりがちなので、特に項立てすることなく書いてしまうと結果的に何を言いたいのかわからなくなる恐れがあります。上記の先行研究と同じように、(1)、(2)、(3)にそれぞれ何を分析して検討しているかの表題を記載しましょう。そうすると今何を書こうとしているか迷わなくなります。文字数がかなり多い研究計画書であれば更に細かく分類しても良いと思われます。

2000文字程度の場合 3000文字程度の場合 
1.研究動機 1.研究動機 
2.先行研究
 (1)事件の概要
 (2)争点
 (3)裁判の経緯 
2.先行研究
 (1)事件の概要
 (2)争点
 (3)裁判の経緯 
3.分析検討
 (1)〇〇について
 (2)○○の解釈
 (3)〇〇の適用
3.分析検討
 (1)〇〇について
  Ⅰ○○の趣旨
  Ⅱ○○と○○の比較
 (2)○○の解釈
  Ⅰ○○の立法趣旨
  Ⅱ〇〇について
 (3)〇〇の適用
4.今後の研究計画4.今後の研究計画


 特に何文字以上であればこの書き方というような決まりはありません。但し、指定文字数が1500文字程度であるにもかかわらず、3000文字以上あるような書き方をすると細かすぎて何を書いているかわからなくなることありますので、ご注意ください。

③今後の研究計画部分の作成
 ここまで分析検討してきた結果、導かれている現時点での結論を記載します。皆さんがどの研究者のどの意見に賛同しているのか、現時点ではどの部分の研究が判明していないのか等を記載し、その上で判明していない部分を大学院に入学してから研究したいと記載すれば良いかと思います。判明している部分も、判明していない部分も、皆さんが研究をしたからこそ明確になったわけですので、自身を持って記載してください。

④文字数の調整
 ひととおり研究計画書は作成できましたが、予定通りの文字数になっているでしょうか。大半の方が予定通りの文字数にはなっていないかと思います。少なければ、研究が足りないこともありますので、追加で文献収集が必要なこともあります。多ければ、先行研究を書き過ぎている可能性もあります。文字数が少なければ、研究計画書にもう少し肉付けし、文字数が多ければ、少し肉をそぎ落としていくイメージになります。最終的には単語単位で加除することにもなってくるかと思いますが、この部分をしっかりすることで、とても洗練された研究計画書になり、作成した研究計画書の理解に繋がってきます。


◆志望動機の作成

 ここまででメインの研究計画書の作成は終了しているかと思います。お疲れさまでした。しかし、まだ志望動機と学習計画が未作成ですので、まずは、志望動機を先に記載します。皆さんは何故その大学院に志望しようとしているのか?を記載します。例えば、カリキュラムへの興味等、人それぞれ様々な意見があると思います。それを記載してください。


◆学習計画の作成

 もし、皆さんが大学院に入って、研究計画書の題目通り論文を作成するとしたらどのように作成するつもりなのかその内容を記載していきます。表記は特に決まっていないので、自由に記載すれば良いとは思いますが、出来れば学校説明会や大学院ホームページでシラバスを確認して、イメージを付けてからの方が書きやすいかと思います。大学院入学後も在籍中は毎年指導教授に学習計画を提出することもありますので、予行練習と思って作成してください。


◆作成のコツ

 全て一通りできたかと思います。初めて作成する方が多い書類だったと思いますので、大変な反面、達成感も相当なものではないでしょうか。しかし、まだ入試途中ですので、合格まではモチベーションを保ちましょうね。
 ここでは、最後に合格可能性をぐっと上げる研究計画書のコツを記載します。
◎見た目が綺麗
◎理論が一貫している
 この2つは特に重要です。まず見た目です。イメージしてください。受験の合否を決める教授は受験時何百人の研究計画書を見ます。その中で、人よりちょっと綺麗な見た目(仕上がり)であれば教授は「おっ!」と思うと思いませんか。そのためには、本文は明朝体、見出しはゴシックにすると整った研究計画書になります。また、当然ですが、誤字脱字がないことも重要です。更に最後に参考文献リストを作成しましょう。参考文献リストは文字数に含まれないことが一般的です。
また理論が一貫していることもとても重要です。例えば先行研究では所得税について争われているのに、分析検討では法人税を検討し、まとめで消費税を結論としていると全く各論点が結びついていないこととなります。大きくは〇〇税についてかもしれませんが、恐らく論点は更に○○税何条の○○の表記について等かと思います。この○○の表記が点とした場合、各分析検討も点であり、その点と点を結んで線にして、結論が自然に導かれるように持っていくことが重要です。この理論が一貫していれば、自然と見た目も綺麗になります。


◆終わりに

 前編、後編と研究計画書について記載させて頂きました。受講生の皆さん自らがこのブログを参考にして、違和感を感じた動機、動機に対しての研究、研究に対しての分析、分析をした結果導かれた結論に対しての今後の学習計画という点と点を線で結べた時、最終的に大学院の合格という結果を得るのではないかと私は思います。是非、「合格したよ!!」という喜びの声を待っています。