心理・チュートリアル通信「科目勉強法について」

心理・チュートリアル通信「研究計画書・研究室訪問・面接について」(3)

2024年度
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。


これが大事!?研究計画書・研究室訪問・面接に共通する受験で必要なマインド

新大阪校チューター:越川 
みなさんこんにちは!河合塾KALS新大阪校 心理系チューターの越川と申します。
今回は研究計画書・研究室訪問・面接がテーマです。
一つ一つ、重要なトピックですが、それは講師の先生方の授業などにお任せするとして、今回はこれら3つに共通するマインド、についてお話ししてみたいと思います。


これからお話しする内容は、これまでのチューターとしてのカウンセリングで受講生の質問とその回答をまとめたものになります。

目次

- 受験で必要なマインド

- 理由1:行動決定する際の軸になる

- 理由2:モチベーションを高め、受験に積極的にコミットできる

- 理由3:自分が求めるものと相手が提供できるもののマッチングが容易になる

- このマインドを持って各項目に取り組むとどうなるか?



・「研究計画書、研究室訪問、面接試験で気をつけておいた方がいいことってありますか?」

院受験は初めて、というかたが大半かと思います。だからこそ、よく上記のような質問がありますが、その時にお答えするのは「将来どんな心理援助職になりたいのか?を具体的にイメージすることが大切」ということです。

心理援助職として働く現場は多様です。医療、教育、福祉、産業、司法、私設開業などなど。どの領域で、どんなアプローチで、どんな人を対象としていくのか、ということを考えると、一人として同じ働き方をするということはありません。その目指すゴールによってどんなことを重点的に学んでいくのか変わってきます。だからこそ現時点で、将来どんな心理援助職としてどんな働き方をしたいのかを具体的にイメージして、それに向けて必要なことを逆算して考えると、自然と今やるべきことが見えてきます。

では、次になぜこのマインドを持っていることがいいのか、3つの理由をお伝えしたいと思います。


・理由1: 行動決定する際の軸になる

こんな受験生がいたらどんな印象を持ちますか?

研究計画書は「親への援助要請の傾向と学校への適応感」について。志望校は働く人へのメンタルヘルスを専門とする産業領域の先生のゼミを希望。将来心理援助職として働くイメージは持っておらず、何をしたいのかわからないが、とりあえず医療領域で必要な心理アセスメントについて大学院では勉強していきたい。。。

研究計画書、志望校、大学院で学びたいこと、それぞれを個別に取り上げてみると、それぞれに考えられていると思います。けれどもそれを全部ひっくるめてみてみるとどうでしょうか?

ちょっとやりたいことの方向性が多方面に向き過ぎて、何をされたいのだろうか?と感じてしまいます。もし、自分が将来的にどんなことをどんな領域でしていきたいのかをイメージできていたら、それに関係する研究計画書、志望校選び、研究室訪問時の質疑応答、面接試験の時の返答、に一貫性が出てきて、将来についてしっかり考えているなという印象を持たれやすいでしょう。


・理由2: モチベーションを高め、受験に積極的にコミットできる

受験勉強を続けているとだんだんこんな気持ちになることがあります。

「思った以上に計画書って大変。時間がかかるし面倒くさいし、今やっているこれって本当にやる意味あるのかな...」

こんなふうに思い始めると目の前のタスクに疑問ばかりが浮かび、焦りから集中して取り組めなくなります。こんな時、目指すべき方向性がはっきりしていることで、「今時間をかけてしていることが将来役にたつ!」というイメージがしやすくなり、モチベーションを高めることに役立ちます。日々の受験勉強の中で抱く不安や焦りを抱えながらの受験より、集中できそうですよね。


・理由3: 自分が求めるものと相手が提供できるもののマッチングが容易になる

自分が将来どんな領域、職場で仕事をしていきたいのか、どんな臨床を行なっていきたいのか、これが具体的にイメージできていると、そのために、「今」、「近い将来」、何が必要なのか、ということを考えやすくなります。

受験の、特に面接や研究室訪問で大切な目線は、受験校から選んでもらう、だけでなく、自分にとってこの受験校がマッチしているのかということを受験者目線でみて判断する視点です。

どうしても受験は選ばれる側になりがちですが、その前に受験生としてその大学院を選ぶ立場でもあります。苦労して入学したのに、「思ってたんと違う」となった時のことを想像してみてください。大学院での学習のモチベーション維持にも差し障りがありますし、後悔も多くなると思います。そうなる前に、自分が求めるものと相手が提供できるものがマッチしているかどうかを判断する目線をもつことで、吟味する目線が養われます。そうすることで、研究室訪問での先生への質問も自身にとってより有用な内容になりますし、面接試験での堂々とした態度につながると思われます。

これができるようになるために、どういうことを学びたいのか、今の自分に必要なのはなんなのか、を振り返ることが必要になります。ぜひ、後悔のない受験をしていただけたらと願っています。


・このマインドを持って各項目に取り組むとどうなるか?

最後に、それぞれの項目でこのマインドを持っていることのメリットをお伝えします。

研究計画書:テーマを決めやすい、臨床心理学的な意義を具体的なイメージを持って書くことができる。先行研究を探して読み込むのも勉強になる。自分の関心ある分野がより詳しくなる。

研究室訪問:何に興味があるのか、何に学びたいのかなどが明確であるため、自分に欲しい情報が手に入りやすい(自分の研究テーマは指導可能かどうか、実習先として自分の関心ある領域がどのくらい充実しているのか、など)、具体的な研究計画を伝えることで参考になる情報が得られやすい。

面接:志望理由がありきたりにならなくてすむ。面接時の質問で、研究計画書のテーマや、これから学んでいきたいこと、に一貫性をもたすことができ、説得力が増す。

などが挙げられます。

いかがでしょうか?もちろんこの考え方だけが絶対ではありません。ですが、このマインドを持とうと色々考えることが将来にもつながると思いますので、一度試してみてもらえたら嬉しいです。