心理・チュートリアル通信「研究計画書をはじめよう」
2025年度
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
研究計画書をはじめよう
新宿本校チューター:小倉
こんにちは。KALS新宿本校チューター小倉です。いよいよ新学期が始まりましたね!気持ちを新たに、一歩一歩進んでいきましょう。
今回のテーマは「研究計画書をはじめよう」ということです。頭を悩ませる方が多い、研究計画書作成。まず、何からやっていけばいいのかお教えします。
研究計画書の作成は大きく以下の4つのステップに分かれています。
Step1 興味のあるキーワードを検索し、先行研究を読んでみる
Step2 先行研究で未だ検討されていない自分だけのリサーチクエスチョンを見つける
Step3 先輩方の研究計画書を閲覧しながら、計画書の雛形に自らの研究の問題・目的・方法を当てはめていく
Step4 添削を受けながら修正し完成!
まだ取り組み始めていない人は、「本当に完成するのか…?」「出願までに間に合うのか…?」などなど不安が大きいかもしれません。しかし、これらのStepは至ってシンプルで、一歩ずつ進んでいけば確実に研究計画を執筆することができます!今回はStep1,2の部分についてじっくりお話ししていきたいと思います。
【Step1 興味のあるキーワードを検索し、先行研究を読んでみる】
研究計画書を書いていくにあたり、まずはおおまかなテーマを決めなければなりません。具体的な概念、例えば「アイデンティティ」「自尊心」や、具体的な援助対象「発達障害」「大学生」、または、具体的な技法「認知行動療法」「描画法」など……。まずは自分の興味のあるキーワードを書き出してみましょう。そして、そのようなテーマで現在どのような研究が行われているのか調べていきます。CiNiiやGoogle Scholar等のサイトを使われると良いと思います。まずは実際の論文を読み、分野への理解を深めましょう。最初は全文読めなくても構いません。「概要」だけでも目を通しましょう。
テーマが思いつかない方へ
みなさんの多くが臨床家を目指していることと思います。将来どのような人々を援助対象としたいのでしょうか?どのような臨床現場で働くことを想定していますか?このような臨床における関心には修士論文計画へのヒントが必ず隠れています。または、卒論のテーマを見直し、共通する、もしくは発展するキーワードを検索していくのも良いかと思います。
調べてみたものの先行研究があまり見つからなかった方へ
少し調べ方を変えてみましょう。例えば、キーワードをより広い言葉にしてみると、Hitする論文の数は増えるでしょう。また、検索だけでなく、見つけた先行研究の参考文献から芋づる式に論文を見つけていくのも効果的です。
調べたら先行研究が膨大すぎて困っている方へ
上記の方とは逆に、キーワードをより自分の関心に触れる狭い言葉にしてみましょう。もしくは、最初に書き出したキーワードにもう一度立ち帰り、いくつかを掛け合わせて調べてみるのもいいかもしれません。そうすることで、Step2のオリジナリティあふれる自分だけのリサーチクエスチョンに一歩近づきます。
【Step2 先行研究で未だ検討されていない自分だけのリサーチクエスチョンを見つける】
先行研究をいくつかみていくと、自分の関心に近いところで、「明らかになっていること」「明らかになっていないこと」が少しずつ見えてくることと思います。そこには、自分だけのリサーチクエスチョン(研究によって明らかにしようとする問い)が隠れています。先行研究を受けて、自分は何を明らかにしたいのか書き出してみましょう。(リサーチクエスチョンが決まれば、研究計画書の山場はすでに越えています!)
そして、リサーチクエスチョン、つまり研究計画の核となるテーマが決まったらKALSの先輩方の研究計画書集を閲覧、それらを参考に実際の執筆と進んで行きます。
【おまけ チューターへの相談】
Step1,2でお困りの方は、特にチューターがお役に立てるかと思います。講師の先生の個別相談を早い段階からお願いし構想を練るのもいいかと思いますが、回数制限があります。相談を迷われる方は、ぜひチューターカウンセリングもご検討ください! みなさんが今考えていることを整理しながら、先行研究探し、リサーチクエスチョンのアイデア出しをしていきましょう。臨床心理学の全ての分野に精通しているわけではありませんが、ぜひ一緒に勉強しながら、ご協力させていただければと思います。
いかがでしたでしょうか。今回は「研究計画書をはじめよう」というテーマで、研究計画書作成の手始めにして山場となるStep1,2についてお伝えしました。今これを読んでいるみなさんはきっと大丈夫、一歩ずつ進んで行きましょう。困ったことがあればチューターカウンセリングでお待ちしております!