心理・チュートリアル通信「論述対策」(1)
2025年度
チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。
論述の対策をしよう!
新大阪校チューター:中島
こんにちは。新大阪校チューターの中島です。
今回は専門科目(心理学)の論述対策について,4つのStepに分けて解説していきたいと思います。
Step1 過去問を見て,出題傾向を確認!
まずは第一志望校の過去問を見て,どんな問題が出題されるのかを分析しましょう。その際に確認するといいポイントは「出題内容」「配点」「文字数」です。出題内容については,多くの大学院で①200字前後の用語説明と②テーマや事例について600~800字程度で論じるもの(②を以下,「プチ小論」とする)のいずれか,もしくは両方が出題されます。あとは配点や出題数に応じて,対策の優先順位を立て,効率よく準備していくといいと思います。
私の場合は,第一志望校が用語説明20問,プチ小論1題という出題傾向でした。そのプチ小論もテーマが「インテーク面接における留意事項について」「うつ病の心理的援助について」等,ほぼ知識を問う内容ばかりでしたので,自分で行う対策は用語説明の方に100%舵を切りました。また,プチ小論の対策は講座(B群)の論述対策を受講しました。この講座は回数こそ少ないですが,テーマや添削等の内容が充実していたので,個人的には講座+過去問で十分だったと感じています。志望校の傾向に合わせて,無駄のない学習計画を立てましょう。
Step2 書き方の「型」をおさえる!
つぎに,論述はある程度決まった書き方(いわゆる「型」のようなもの)があった方が書きやすいですので,それを知っておくことをおすすめします。
例えば用語説明であれば,1行目に定義文(例:「○○とは~~である。」),2行目には提唱者や詳細,3行目には具体例や実践例を書くとおさまりがいいとされます。また,プチ小論であれば,冒頭から「~について,以下〇点を述べる。1点目は~,2点目は~,最後に~。」といった型で書いている人が多いです。時に例外もありますが,できるだけどんな問題も,この型に沿って書くクセをつけることで,「ええっと,何から書き始めよう…」という状態に陥らなくて済むようになります。
正しい型を知るためには,講座課題の回答例がもっとも参考になると個人的には思います。また,より多くの用語回答例を知りたい方は,河合塾KALSが監修している参考書『公認心理師・臨床心理士大学院対策 鉄則10&キーワード120 心理学編(講談社)』もおすすめです。「型」という視点で,回答例を読んでみてください。
Step3 インプットは「本番」を意識して!
さて,Step2で型をおさえられたら,その型に対応するかたちで,知識をインプットしていきましょう。具体的には,下のような表をノートや頭の中に作って,空欄にそれぞれ内容を入れていきます。
この表が頭の中に定着してくると,講座を聴いている最中にも「あ!この内容は何行目に使えるな」という感じになってきます。そうなってきたらOKです!かなり本番を意識したインプットができています。
ところで,インプットの話題では「用語まとめはノートがいいですか?カードですか?」といった質問をよく受けます。結論としては,どんな方法でもよいと思います。むしろ大事なのは「それを,どこで書くか」です。インプットした時の環境が,アウトプットする環境に類似しているほど,アウトプットの正答率は高まります。この原理を利用すると,インプットは本番の試験に近い環境(例えば,大学や図書館,KALS自習室など)で書く方がよいということが分かると思います。また,本番の試験がオンラインで行われる大学院の場合は,インプットもパソコン上で行う方がよいと考えられます。家の方が集中できるという方も,間にカフェ等をはさみながら,徐々に本番の環境に近づけていくとよいと思います。一方,電車内や寝室で試験がある大学院は少ないと思われますので,それらの場所でのインプットは避けましょう。
Step4 アウトプットしたら必ず見てもらおう!
おつかれ様でした!ここまで来たら,過去問や問題に実際にチャレンジ!本番同様に,どんどん書いてみましょう。また,書いたものが,どれぐらい出来ているのか確認するためにも講師やチューターなど専門知識のある第三者に見てもらいましょう。時間の都合上,一語一句添削はできませんが,大まかな感触(例えば〇,△,×ぐらい)は自分から尋ねてみるといいと思います。また,もし講座内で課題が出題されたら,それは自分の実力を知る絶好のチャンスですので,積極的に提出するようにしましょう。
そうは言っても,このアウトプット,はじめのうちは全然書けません!書こうとしたら,1文字目で筆が止まる…。1行で終わっちゃう…。こうした経験は,あなただけでなく,これまですべての合格者・心理職が味わってきたものと言えるでしょう(もちろん私も!)。初めは書けなくて,がっかりしたり焦ったりすると思いますが,むしろその気持ちは,あなたが合格の入口に立っている証拠です。筆が止まったら,テキストを開く,読んだら閉じて,また書き始める…。50字で精一杯だった自分が,今日は70字書けた…。論述対策は,そんな地道な作業の繰り返しではありますが,ちょっとずつ変化していく自分に気付き,小さな喜びを大切にすることが,努力を継続するコツであると思います。
以上,「論述の対策をしよう」でした。何か1つでも参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。