ブログ

心理・チュートリアル通信「研究計画書について」(3)

2023年度

チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。


研究計画書について(3)

名駅校チューター:伊藤 
みなさん、こんにちは。名駅校チューター伊藤です。
今回は「研究計画書」についてお話させて頂きます。

研究計画書、名前からして凄そうなもののように感じますよね。「何から考えればいいのだろう。」「何をテーマにしたらいいのだろう。」「卒業論文でつまずいているのに…」「まず卒業論文も迷っているのに考えられない!」という方もいるかもしれません。ちなみに私はこの鍵括弧全て大学4年生の頃思っていました。研究計画書が試験の点数に入る大学院も多い中でどのように始めていくべきか分からない人が多いと思います。何も迷わず研究計画書のテーマを決めて進めていけられる人はごくわずかであると思います。沢山迷って、考えて研究計画書を作成していきましょう。

1.研究計画書とは

皆さんの中には、研究するために大学院行くわけじゃないのに…と思っている人は多いのではないでしょうか。臨床心理士の資格を取るため、公認心理師の資格を取るため、心理の知識を深めたいため、研究したいため等様々な理由があるとは思いますが、研究計画書から逃げることは不可能に近いです。私自身、「研究は別に…」と考えていたのですが大学院生になって研究の重要さを身に染みて感じています。最新の論文や研究発表を聞く事で新たな知識を付けていくことが心理師・士にとって非常に重要なことになっています。何かしらのケースを持つことになった時や事例検討会に出席した時、知識が古かったり足りなかったりすると求められている心理師・士像とはかけ離れたものになっていきます。それでは、一度KALSの授業の復習をしましょう。臨床心理士の定義は皆さん覚えていますか?4つの専門業務の中に調査・研究活動というものが存在していましたよね。それでは公認心理師の定義は覚えていますか?調査・研究活動は4つの業務の中に入っていませんが、公認心理師になれたからといって学習・勉強を止めていいわけではありません。最新のデータや知識が必要です。
つまり、何が言いたいかというと私たち心理学を学ぶことを決めた人たちは学習を止めずに最新の知識が必要になっていくわけです(もちろん最新の知識だけでなく、最新の知識の基盤となる過去のデータも重要ですが)。今の段階でどれだけ研究に対して真摯に向き合えるか、どれだけの事を考えられるかが求められている訳ですね。その求められていることに対して「自分はこういう研究をしたいんだよ!」と伝えるのが研究計画書ということです。

2.研究計画書作成方法

さて、前置きが長くなりましたがどうやって書くか。について焦点を当てていきます。まずは①大体のやりたいことを決めましょう!沢山論文を読むことは大事ですが、やりたい領域等が決まっていないのに様々な論文を読む事は時間がもったいないです。ただでさえ、心理学や英語の勉強をしなければならないのですから、一旦は領域を絞ることからです。領域を決めたら②自由にテーマを考えてみましょう!なんでもいいです。論文を沢山読んでからでもいいですが、考えがまとまらなくなってしまうこともありえるのでまずは自由に色々考えてみましょう。考えることは大事です。考えが大体まとまってきたら③先行研究を調べてみよう!です。先行研究を調べている中で、もしかしたらもう誰かが自分のやりたい研究を行っているかもしれません。そしたらその論文の「今後の課題」の所を読んでみましょう。何かヒントがあるかもしれません。先行研究を読んで自分の考えていたものが実現不可能だとなったらまた違う視点から考えてみることも大事です。先行研究を一通り読んで方向性が決まったら④実際に作成してみよう!です。一回文章に起こすと今まで見えてこなかったものが見える時もあります。作成してみて、次に考えることは⑤実現可能性についてです。大学院生・修士の2年間で実際に研究出来る内容なのかを考えてみましょう。2年間で出来る可能性が低いものを提出してしまうと「ほんとにやれる?」と受験校の先生方は思ってしまうかもしれません。さらに倫理的な配慮が必要な場合きちんとその配慮を考えているかも重要です。まとめると、実現可能性+新規性・独自性これらは研究計画書を作成するのに重要な点になってきますので、様々な論文を読んで知識を深めていきましょう。

3.最後に

研究計画書についてなんとなくでもイメージは湧きましたでしょうか。研究計画書難しいですよね。考えがまとまらなくなったら、誰かに自分の考えを聞いてもらうのも1つの手です。実際私は、心理の知識が何もない母親に話して頭の中で整理をしていました。大学の友達、KALSにいるお友達、誰でもいいと思います。まずは自分の考えを言語化しましょう。困ったらKALSのチューターに相談に来てください。出来る限りお手伝いさせて頂きます。資料も無くても大丈夫です。「とりあえず浮かんだこと話してみるか!」でも大丈夫ですよ。一緒に悩んで考えていきましょう。
それではみなさん、今回はこれで終わりになります。ありがとうございました。