ブログ

心理・チュートリアル通信「研究計画書について」(4)

2023年度

チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。


研究計画書について(4)

名駅校チューター:中島 
こんにちは!名駅校チューターの中島です!今回は「研究計画書」についてのお話です。

「別に、研究者になりたいわけじゃないんだよなぁ・・・」という方、「アー〇ャ、研究計画書が好き」という方など、様々なお考えをお持ちの方がいらっしゃると思います。私もKALS生だった頃は、前者のような考え方をしておりました。研究計画書は大学院受験において、切っても入れない関係にあるので、受験勉強はもちろん大事なのですが、研究計画書も大事であるということを頭の片隅に置いていただけるとありがたいです!
 前回のチュートリアル通信で、研究計画書について少し触れましたね。宮川シェフに食材を提供しましょうということ、研究計画書は「沼」であること等、お伝えしたかと思います。今回は主に3つお話したいと思います。前回のチュートリアル通信と重複する部分もあるとは思いますが、ご容赦くださいね。

1.研究計画書とは

「研究計画書ってなんやねん」というそこのあなた、安心してください、私も宮川先生の解説を受けるまで全く知りませんでした。ここでは概要講義で配られた冊子を参考に書いていきますね。『研究計画書とは、「研究の設計図」であり、その設計図に従って研究を組み立てられるか。また、その設計図が心理学研究の基本に沿っているものなのか』というものです。では、「心理学研究の基本」ってなんでしょうね?冊子にも記載がありますが、『すべての心理学の研究の基本は、「客観性」「再現性」「論理性」の維持にある。心というものは物理的に存在しないため、目に見える形にした上で統計的に処理することにより、客観的に物事を判断するもの』ということです。難しいですよね・・・。ここではざっくりと触れておきますので、詳細については冊子も参考にしてくださいね。

2.研究計画書の構成

研究計画書の構成は、以下のようなものになるかと思われます。

  1. 問題と目的
  2. 仮説
  3. 方法
  4. 引用文献
まずは、1.問題と目的です。問題と目的についてですが、研究のテーマですね。なぜこの研究にしたのか。なぜこの研究をやろうと思ったのか。などを書いていきます。研究のテーマについては、何気ない日常の疑問であったり、これってどうなんだろうという興味などからでもよいと思います。心理系の学部を卒業しており、卒論を書いたよという方は、卒論の発展形で良いと思いますし、初学者の方や卒論と違うテーマをやりたい方は新たにテーマを見つけるところから始まると思います。何気ない疑問があっと驚く研究計画になったりするので、色々と膨らませてみるのもよいですね。「それでも決まらん!」という方は、宮川シェフに相談してみましょう!
次に、2.仮説です。冊子では、「序論・目的」の欄に含まれていると思われます。個人的には仮説も重要になってくると思います。こうなりそうかも。とテーマを決めた時点である程度決まっている方もいらっしゃると思います。その一方で、テーマは決まったけど、どうなるかわからん。という方もいらっしゃると思います。ここまできたら、論文を読み込むフェーズに入るといいんじゃないでしょうか。論文の探し方についても後に触れていきたいと思います。
そして、3.方法です。どういった方法で研究を進めていくのかを書いていきます。
質的研究なのか、量的研究なのかで変わってきますが、量的研究であれば、調査対象者の所属はどこか(学生や社会人などの属性)、何人にとるのか、どういった質問紙を使うのかといったことを記入していきます。「そんなもんわからんわ!」という方は、先行研究の論文を読んでみて、どんな人に、何人にとって、どんな質問紙を使用しているのかを参考にしてみてはいかがでしょうか。
最後に、4.引用文献です。どんな論文を使用したのか。研究の肝となる論文を記入していきます。ここからはどうしても守らないといけないというわけではないのですが、「〇〇心理学研究」などの学会誌を引用するのがよいと思われます。「〇〇大学紀要」といった紀要論文は、審査が甘かったりします。一概にレベルが低いとは言えませんが、引用すること自体を好まない先生もいらっしゃいますので、一定の水準が担保されている学会誌からの引用をオススメします。

3.論文の探し方

論文の探し方ですが、Google ScholarやJ-STAGEといった電子ジャーナルで、キーワードを入れてみるといいと思います。自分の場合ですと、ネット炎上と寛容性がキーワードでしたので、それぞれ個別で入れてみたり、両方同時に入れてみたり、近い概念のものをいれてみたりと、色々と検索をかけていました。「論文がたくさんありすぎて、どれを見たらよいのかがわからないよ」Google Scholarには期間(年)を絞る欄がありますね。新しい年数のものを見てみるとよいのではないでしょうか。いくつか論文を読んでいると、この人さっきの論文にも出てきたな、というように同じ名前の人が出てくると思われますので、引用されている元の論文を読んでみたり、著者名で検索をかけてみるのも良いかと思われます。

長くなりましたが、以上が研究計画書についてのお話でした。面接官に「100点満点です。研究も仮説も面白く大好きです」と言ってもらえるよう、仕上げていきましょう!
一人で考えるのはしんどいと思いますので、宮川先生に相談したり、チューター面談を活用していただければよいと思います。私たちも一緒に考えていきたいと思います!