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心理・チュートリアル通信「直前対策」(1)

2023年度

チュートリアル通信では、大学院に合格したKALSのチューターが、勉強法や参考図書、研究計画書について、各大学院の様々な情報や、心理士事情など皆さんに有益となるようなコンテンツをお送りしていきます。日々の勉強の合間の息抜きとして、是非ご覧になってみてください。

直前対策(1)

新大阪校チューター:中島 
こんにちは、新大阪校チューターの中島です。
今回は「直前対策」についてお伝えしたいと思います。

いよいよ本番が近づいてきました。
「ドキドキが日に日に増してきてつらい…。」でも、「あともう少しで受験から解放される!」など、様々な気持ちが目まぐるしくせめぎ合う、そんな時期かと思います。この時期に、平常心でいられる人はいません。緊張や不安な気持ちがあって当然だと思います。

さて、そんな気持ちが現れ始めたら、それは“直前期のサイン”です。直前期には、今までとは異なる精神状態が訪れるからこそ、過ごし方に工夫が必要です。そこで、今回は、みなさんのこれまでの努力が、できるだけベストなかたちで発揮されるために、直前期の過ごし方について、ご紹介いたします。

「学習面」「心理面」の2つにわけて、お伝えします。もしよかったら、参考にしてみてください。

〈学習面〉

1. アウトプット型学習に切り替える

 インプット(ノートまとめや参考書読み)はいったん区切りにして、アウトプット(問題演習)を学習のメインにしましょう。
アウトプット型に切り替えるメリットとして、以下の2つがあります。

① 自分の「できる」ところと「できない」ところが明確になる
② 本番時の状況により近い、脳の使い方ができる

まず、①では「できない」ところが分かることで、何を重点的に復習すればよいのかが明らかになります。本番まで、限られた時間ですから、ざっと総復習するのではなく、不足している知識だけをピンポイントで復習しましょう。また、確実に「できる」あるいは「得意」な分野を知っておくことも大切です。本番でも、得意な分野の問題から手をつけることで、リラックスして試験に入っていくことができます。
次に②では、記憶から引っ張り出す作業と、それを文にするために組み立てる作業の2つを意識的にやってみてください。これらの能力は、インプット型学習では、残念ながら鍛えることはできません。直前期に、この「引っ張り出し」と「組み立て」の訓練を地道にやっておくことで、実際の試験で使える脳に変化していきます。

 ここで注意していただきたいことは、アウトプット学習をするうえで、新規の参考書や問題集を買う必要は「ない」という点です。これまでやった、模試や小テスト、テキストの問題を1周目、2周目と行っていき、精度を高めていきましょう。2周目以降は間違えた問題だけをやります。周を重ねるごとに、「×」が減っていくことで、あなたの実力が高まってきていることを実感されると思います。

 もし手元に問題が何もない!という方には、「索引検索法」がおすすめです。索引検索法とは、参考書やテキストの巻末にある「索引」にある用語を無作為に抽出し、用語説明する学習方法です。同じ参考書で答え合わせもできるので、シビアな力試しもできます。膨大な用語数すべてをこなすことは不可能ですが、「1日7語は毎日説明する!」などと決めて、ルーティーンにできれば、本番までには、まとまった量の用語に触れることが可能です。

2. 研究計画書から、面接で尋ねられそうなことを予想しておく

 出願が済んだら、計画書はひと安心!といきたいところですが、出願後も研究計画書のブラッシュアップを続けましょう。なぜなら、面接試験の大半は、この研究計画書についての質問だからです。しかし、ブラッシュアップといっても、もう内容の変更はできません。では、直前期に何をするのか。ぜひ取り組んでいただきたいのは、以下の3点になります。

・研究計画の概要を素人の方に簡単に説明する
・予想される質問のリストアップ
・現時点での計画の課題、不十分な点を説明できるようにしておく

 面接では、「あなたの研究計画を簡単に説明してください。」といったことは、ほぼ必ず質問されます。面接官からすれば、専門用語をとりあえず並べ、丸暗記した説明なのか、それとも、自分の頭で理解し、自分の言葉で話しているのかは、すぐ分かります。後者のほうが、好印象なだけでなく、その後の面接がやわらかい雰囲気で進むメリットもあります。ご家族や友人の方に協力してもらい、平易な言葉で研究計画を説明する練習をしてみましょう。これまで話したことのないチューターに説明を聞いてもらうのもおすすめです。
 また、予想される質問というのは自分だけでは、なかなか考えつかないものでもあります。ここは、積極的に第3者に見てもらって、質問をしてもらいましょう。できれば、あなたの周りで最も“いじわるな人”にも見てもらってください(笑)。あなたが聞かれて困る、嫌な質問を本番前に頂戴しておきましょう。
 さいごに、計画書については「ベストを尽くして考えましたが、至らない点もあります。例えば…」という謙虚なスタンスを貫きましょう。ただ、「全然ダメで、本当にすみません!」となんぼ誤っても意味はありません。大切なのは、どこが至らない点で、その改善のために何が必要かを自覚できていることです。例えば、「解析方法について、~効果を検討するために、現時点の知識では○○分析を考えておりますが、近年は△△分析もあることを知りました。△△分析の理解は不十分ですので、この後期に学習したいと考えています。」という回答です。(なんでもかんでも“今後の課題”にすればいいものでもないので、多用は注意してくださいね。)面接官は、百戦錬磨の教授陣ですから、必ず課題を見抜いてこられます。課題はあって当然なので、事前に自覚しておき、面接官の“痛い指摘”を受け入れる準備をしておきましょう。

〈心理面〉

1. 本番とまったく同じ状況で1日を過ごしてみる


 入試当日のスケジュールは案外過酷です…。学科では半日以上、座りっぱなしです。面接は、大学によっては数時間の待ち時間が発生します。外部入試の方にとっては、場所も人も初めての環境です。こうして書き上げた条件だけでも、かなりパフォーマンスを低下させそうです(泣)。
 そこで、入試当日のスケジュールに少しずつ身体を慣らしておく準備をしておくことはいかがでしょうか。具体的には、当日と同じ時間に起床し、入試要項にあるスケジュール通りに過去問をやって、昼食をとる等です。初めての場所に不安のある人は、入試と同じ曜日に、同じ交通手段を使って会場まで行ってみるのもいいでしょう。電車の込み具合や、駅から校舎までの道の感じに少しでも慣れておくと、当日、余計なことに頭を使わずにすみます。
 ちなみに、私は社会人時代が長く、かなり身体を動かす仕事でしたので、「座りっぱなし」にどこまで自分が耐えられるのか、腰との相談が必要でした。そこで、毎週日曜日の午前中は、座りっぱなしで過ごす訓練を直前期にしました。1週目で腰痛を感じ、2週目で足のしびれと注意散漫が生じました。3週目でやっと集中の感じをつかみはじめました。なんともアナログで、格好悪いトレーニングで恐縮ですが、やっておいてよかったと思う準備の1つです。ぜひ、みなさんも、ご自身の不安なことに応じて、身体の準備を丁寧にしてあげてください。

2. 睡眠時間を少しずつ増やす

 「入試前夜、早く寝ようと床についたが、なかなか眠れない(汗)」このあるある現象、なぜ起こるのでしょうか。緊張もあるでしょうが、答えは「前々日まで遅くまで勉強しているから」かもしれません。
 睡眠のサイクルは、非常にゆっくりでしか変化しません。したがって、例えば、前々日まで夜0時ごろまで勉強していた人が、前日だけ22時に寝ることは実質不可能になります。前日22時に就寝したいと考えているのであれば、徐々に就寝時刻を早めていき、1、2週間前~本番までは22時就寝のペースを維持しましょう。
 直前期は脳がいつもより過覚醒、興奮ぎみですので、たえずエネルギーを消耗しています。ふだんより、たっぷりめに寝て、脳を休めてあげましょう。そのほうが、日中の学習の質があがります。日中に集中のピークを持ってくる習慣は、まさに入試当日に活きることと思います。
 ちなみに、睡眠時間の確保は、家族や友人、先生、職場の上司や同僚に協力してもらうと、より実現しやすくなります。「○月○日までは、ずっと○時に寝るリズムでいきたいねん!」と周りに宣言し、協力を求めましょう。深夜のLINEやメールが減り、場合によっては、課題や残業を調整してもらえるかもしれません。あなたの大切な夢のための協力依頼ですから、依頼される側もいやな思いはされないことと思います。

いかがでしたか。今回は、おすすめの直前対策について、ご紹介しました。本番までの1日1日を大切に。でもそれ以上に、がんばっているあなた自身を大切に。みなさんの努力が発揮されるよう応援しています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。